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□些細なことをきっかけに生まれるらしい
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賭朗勝負を依頼すると、専属が空いていないので他の立会人が向かうと告げられ待っていたところ到着を知らせるチャイムが部屋に響く。


開いていると伝え、入ってきた人物の姿を見て何故だか落ち着かない。こんな反応をした自分が珍しかったのか、隣から梶ちゃんがしつこく聞いて来るのも無視。


「どうしたんすか、貘さん。」


目の前に立つ立会人を眺める。ぱっと見たところは普通の女の子だ…だが賭朗立会人が普通というのがまずおかしい。暴の気配も感じないし、良い意味でも悪い意味でも普通。そんな異彩を放つ女の子だがまあ、笑顔が可愛い。うん、タイプだ。


そんな事を思いながら彼女の自己紹介を待つ。


「お初にお目に掛かります。私、夜行立会人の代理で参りました…苗字 名前と申します。以後お見知りおきを。」


挨拶を聞いてもやっぱり普通だ。そこにどうしようもなく惹き付けられる。日々命を削るような賭けをして、様々な感情を向けられ気にしない素振りをしていても、何処かで癒しを求めていたのかもしれないな。なんて苦笑したあと



「よろしくね、名前ちゃん。」



そう微笑みかけると、立会人にしては珍しく人懐こい笑顔で貘様ですねと握手してきた。



隣にいた梶ちゃんにも握手を求める横顔に勝負相手が来ていないと話し掛ければ、此方に意識を向けた彼女は思惑通り梶ちゃんの手を握る前に携帯電話を取り出し確認しますと部屋を後にした。



「…貘さん、何か今日変っすよ。」




握手し損ねた手をグーパーと握りながら怪訝な顔で言ってくる彼に、普通だよ。と答えて彼女の印象を訊ねる。



「ねえ、梶ちゃん。名前ちゃんのこと見たときどう思った?」




きょとんとした彼は暫くしてから彼女のことを思い浮かべたのか目線を少し上にやりながら答える。




「ん〜、女性の立会人は二人目だなぁ…最上さんはド派手だったけど、苗字さんは清楚な感じだなぁ。とかっすかね。どうしたんすか?」



「…や、いいよ。そうだよね、清楚ね。うん、可愛いよね。」



「可愛いかったですね……てか、やっぱり貘さん変ですよ!熱でもあるんですか?」




慌てた様子で額に手を当てようと覗き込んでくる彼に大丈夫だと笑いながら言う。



「………梶ちゃん、どうしよう。俺、名前ちゃんに一目惚れしたみたい。」



今日一番驚いた顔をした梶ちゃんは辺りを見渡した後、小声で囁く。まだ彼女は部屋に戻っていないのに、聞こえないように気を遣うところが彼らしくまた笑ってしまう。



「まじっすか。立会人って…相手が悪すぎません?いくら貘さんでも…笑ってる場合じゃないですよ!」



「わかってるよ。でも、もう惚れちゃったんだもん。」




些細なことをきっかけに生まれるらしい。



続き………お金では買えないらしい

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