22Kiss

□腿…支配
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友達の結婚式と披露宴が終わり、トイレで化粧を直すついでに携帯をチェックする。着信3件…見なくても相手はおおよそ検討がついた。


予想した相手ならばいいが、賭朗からだったら最悪だなと一瞬思い浮かべて縁起が悪いと頭を振った。休みの申請はしてあるが、専属会員からの要請なら休み返上も有り得ない事ではないし、もしそうだったらついてないと憂鬱な気持ちで履歴を確認した。


画面に表示される"門倉
雄大"の文字にほっと安心して通話ボタンをタッチするとコールを数える間もなく電話に出た彼の声と周囲の雑音が、外に居ることを知らせている。


「…そろそろ終わる頃かと思って、近くまで迎えに来とるよ。そのまま出てこい。」


自分の要件だけ告げて通話を終了させた彼に、いつもながら勝手だなあと苦笑する。二次会、三次会があるかもしれないのにこっちの都合は考えない彼。まあ、職場や彼氏の事を詮索されるので帰りたかったのだけれど。


以前同じような機会があったときにその事を話すと、「二次会、三次会なんか、参加者で結婚してないもん同士の出会いの場じゃろ…出る必要ない。」そう言っていたのを思い出す。迎えにまで来るなんてよっぽど参加してほしくないらしい。


可愛い彼氏の元へ向かう為友人達に帰ると告げて、帰るなら送ると申し出てくれた新郎サイドの男性に断りを入れつつ式場を出た。しつこく着いてくる男性にいい加減うんざりしてきたところで聞こえたいつもの声と訛り口調に引き吊る口許を指で慣らした。


「…わざわざワシの女送ってくれようとしてたみたいでご苦労じゃった。もうおどれの役目は終わりや。」


その何とも言えない笑顔が怖い!向けられた男だけじゃなく、私まで背筋が伸びる。


何も答えない相手に、ふん!と鼻を鳴らし私の腕を引いて車に向かう彼に黙って着いていくと、一緒に後部座席へ乗り込んできた。運転は?浮かんだ疑問は発信した車がすぐに消してくれて、ああ運転手さんが就いてくれてたのかと自己解決したあと、座席へ押し倒されている自分の身を案じた。


「…えっと、ずいぶん、お怒り?」


こんな事聞くまでもなくわかりきっているのだが、口に出さずにはいられない。


「何で男に絡まれとるん?」


「あれは、披露宴の時に写真を撮ってくれて…私と新婦のね!それで送るからって…」


「ああ?連絡先教えたんか?」


「赤外線してもらった。」


膝丈のワンピースが捲られて太ももに歯を立てられて思わずびくりと身構える。プツリとストッキングに穴を開けて、直接触れる彼の少し尖った歯。


「雄大!破かないでね…用意してた換え、友達にあげちゃったから。」


「うるさい。男のロマンじゃ。」


何が男のロマンだ、そんなものでストッキングを破かれるこっちの身にもなって欲しい。大体、これだってそんなに安いものじゃない。そんなことを考えていると先程開けられた穴から彼の指が入って来て、脚をなぞるように降りていくのと共に聞こえる繊維の裂ける音。


「あぁ!奮発したのに!」


「ケチくさいこと言うなや。あとでなんぼでも買うたる。」


目を細めて無惨な姿になったストッキング姿を見つめて何度も脚を撫でたあと、膝を抑える彼を慌てて止める。


「待って!運転手さんが!」


今更と呟いた彼の唇が此方へ迫ってきて、まだ文句を続けようと開いていた私の口を塞いだ。声を奪われ、破かれたストッキングから下着のラインをゆっくり撫でられる。湿ったそこに指が辿り着いて、クッと聞こえる笑い声に脚をばたつかせた。


「…濡れとるけど?」


嫉妬したときの雄大はしつこいし意地悪だ、自分がそうさせた癖に、わざとらしく聞いてくるので睨み付ける。そんな私を見て更に楽しそうに笑う彼が膝を抑えていた手を退けてそこに口付け、色っぽく見上げて来た。


「…そのまま帰る?ワシの家寄る?」


バカ。と答えたのに、太腿にキスマークを付けながら了解と笑う顔が可愛いくて、彼の髪を少しだけ引っぱると抱き起こしてくれた。





……運転手さんの咳払いは聞かなかったことにする。




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