22Kiss

□背中…確認
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突然、そう本当に突然。寝ていた私の背中に襲いかかる掛け布団なんかとは比べ物にならない重みに、思わず噎せ返る。


重みの正体を確認するよりも前に、無遠慮にそして性急に身体をまさぐられて流石に抵抗を始めようと身体を捩った。


「ちょっ!誰!何!?」


端くれながらも立会人の私が全力で振り払おうとしているにも関わらず、びくともしないどころか下着の中まで手を滑り込ませてきた所から言っても相手は相当な実力の持ち主であることがわかる。


「チッ。欲求不満なんじゃ、のぉ名前黙ってヤらせんか。」



…久しぶりに聞くその声にときめく。何てことありはしない。そもそも彼が大掛かりな賭けの立ち会いを任されたのが2週間前。今日がちょうどその2週間で、仕事は終わったのだろうが久しぶりに会う恋人にこの仕打ちは酷すぎる。


「雄大。ただいまとか寂しかったかとか、もっと他に言うことって、んッ。」


「あほ。ヤりたい言うとるやんけ。これ以上甘い言葉あるか。」


乱暴に愛撫されているのに、身体は素直に反応してしまう。


「…は、もうええね。」


何時もなら焦らして焦らして、私が泣くまで意地悪をする彼が何かに追い立てられるかのように私の腰を掴むと、熱を伴い進入してくる。


「んん、やだぁっ、後ろから。」


「…たまにはええやろ。いつもさせてくれへんのやから。」


何とか向かい合おうとする私の肩を押さえつけ、奥へ奥へと刺激を与えてくる彼にされるがままになる。


大人しくなった私に満足したのか、肩を押さえつけていた手を離しゆるゆると背中や腰を撫で始めるその行為に思わず声が漏れてしまう。


「随分感じとるの。乱暴にされるほうが好きやったか?」


意地悪に聞いてくる彼のほうを見ることも出来ずに声にならない声をあげ続ける私の背中にざらついた感触。


「あっ、ゆう、だっ…ごめんっ。」


「何がじゃ。」


「寂しかった、おかえ、なさいっ。」


私の言葉のあと更に激しく揺さぶられ限界を感じ眼をきつく閉じる。その間にも肩や背中、腰に何度も何度も訪れるチクリとした痛みさえ快感となって私を追い詰める。


「…2週間も連絡寄越さんかったんはどういうことじゃ。」


「…仕事でしょ、邪魔しちゃ悪いと思って。」


「返すくらいならどうってことないわ。…むしろ何もないほうが堪えた。」


さっきまでの乱暴な行為が嘘だったかのようにしおらしくなった彼にクスリと笑って。


「…ね、そろそろ顔見せて。」


「…………あほ。」

そう言って向かい合ってキスをしてきた彼の耳は真っ赤だった。




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