22Kiss
□鼻梁…愛玩
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目の前で顔を真っ赤にしされるがままになる彼女も可愛いのだけれど、そこはもう充分楽しんだし、これから先も楽しめるだろう。
だけどこれからしてもらうことは、きっとこの先滅多とない。そのあたりを考慮しても普段以上に不謹慎な顔をしてしまっていることは自覚していた。
「………まだですか?」
眼帯に覆われていない右目をうっすら開くと、想像通りに顔を赤くした彼女がいたことに口元を吊り上げる。くっと喉の奥で笑い彼女の輪郭を指でなぞると聞こえてきた弱々しい声。
「やっぱり私からなんて出来ないっ…門倉さんがしてください。」
「名前さんが仰ったのでしょう、たまには私を気持ちよくさせたいと。」
大袈裟に溜息を吐いてみせると、眉を下げるその姿も此方の嗜虐心を擽るだけだというのに彼女はその事にも気が付かない。
暫く見つめていると、意を決したように肩に手を掛け唇を重ねてきた。随分と拙い口付けに思わず此方から舌を絡めそうになるのを堪えて、応えるだけに留める。
一生懸命な口付けの最中、震える指が辿々しくボタンを外してくる。全て外し終えると、恥ずかしそうにシャツを脱がせてくれた。
「そんなに真っ赤になって、脱がされたのは私ですよ。」
からかう台詞に返事も寄越さずに首筋に吸い付いてくる彼女が何とも情欲をそそる。戸惑いながら胸元や腹、腰をゆるゆる撫でてから丁寧にキスを落としてくる様子をじっと見つめていると、ふと目が合った。
「…恥ずかしいから見ないでください。」
「見たいので。」
そう答えると、諦めたのか恥ずかしそうに行為を再開してきた。舐めたり、噛んだりを繰り返されるうち、普段自分がしているそれと驚くほど似ていることに気が付く。それは彼女の経験の無さを物語っていて、気分が良くなった。
ズボンに手を掛けられたとき、期待してしまったことは秘密にしておこうと緩む口元を隠していると、涙目で見つめられ、もう無理。恥ずかしい。できない。と懇願混じりに抱き着かれた。
苛めすぎたかと小さく溜息を吐き、覗き込むように抱き上げると今にも泣き出しそうな顔をしている彼女の小さな鼻に口付ける。
「…焦らしすぎや、交代じゃ。」
安心した様子の彼女に、
「今日の続きはまた今度でええよ。」
耳元でそう囁くと真っ赤な顔で何度も何度も頷く彼女の頭を撫でて、そんな日が来るのはまだまだ先だろうと独りごちた。
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