ダメプリ夢小説
□調査開始
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私は夕食の時間まで資料室に行ってセレンファーレンの事について調べることにした。
本当は自国を出る前にある程度調べてからお邪魔すればよかったんだけど、ミリドニアがいきなり攻めてきたからゆっくりもしていられなかった。
母様に至っては、婿候補を探してこいなんて言ってたけど…
ふぅ。
私は小さくため息を吐いて資料室を探すことにした。
コツコツコツコツ
私の足音が響く。イナコのお城は木でできてるからミシミシいってたけど本当にセレンファーレンのお城は立派だなぁ…
コツコツコツコツ
えーっと、資料室資料室…どこだろ
コツコツコツコツ
「姫」
「わっ!」
いきなり背後から声をかけられ、振り向くとそこにはクロムがいた。
…あの時の恐怖が蘇る。
「な…なんですか…?」
「わたくしクロムは、少し反省しております。」
「…(え、今更?)」
「さすがにペーパーナイフなどという刃物を投げたのはよろしくなかったですね。深く謝罪します」
(そこ反省!?そこだけ!?)
戸惑ってる私をよそにクロムは話し続けた。
「…わたくしはこのお城でリュゼ皇子と共に長い時間過ごしてきました…そして同盟をイナコと結び、アニ姫、あなたがやってきた。わたくしも男です。貴方の素朴さ、澄んだ瞳…耐えられなかった…誰でもいいわけではありません。誰でもいいなら城下でなんとでもなるのです。しかし私は…アニという、美しい女性に出会ってしまった。今すぐにでも自分のものにしたかった…あのような失態、反省しております。」
「えーっと…これは…謝罪なのかな?」
「はい。謝罪と、告白です。わたくしクロムはアニに惚れてしまった。好きになってしまいました。」
「そんな…いきなり…なんで?いきなりすぎるよね?」
「いいえ、わたくしの中では全くいきなりなんかではないのです。わたくしが幼い頃、慕っていた女性がいたのですが、短い間しか一緒にいることができませんでした。あの頃私は本当に幼かった。でも彼女のことを忘れた日は一度もありません。アニ姫…アニ。あなたはあの人≠ノとても良く似ている。生まれ変わりかと思う程に。」
クロムが私の前でひざまづいた。
「アニ。わたくしクロムの婚約者となってくれませんか」
「…え…いきなりそんなこと言われても困るよ!私はクロムと出会ってそんなに経ってないし、まだ結婚とか考えてないし!」
「そう…ですよね。わかってます。断られることも予想はしていました。では、これだけ覚えておいて欲しいのですが」
「何?」
「わたくしにとってあなたは特別な存在であること。婚約などのわたくしからの一方的な想いは気になさらないでください。ただ、あなたを想っている。その事実だけでも受け取ってくれませんか」
「あ…(色々断っちゃって悪いから、言葉を受け取るくらいしてあげてもいいかな…)う、うん、わかった。」
「ありがとうございます。」
クロムは嬉しそうに私の手をとって強く握ってきた。握手に似てるけど、握手ではなく、愛おしいものを守る大きな手…
私は少し心臓が高鳴るのを感じた。
「あのっ…クロム、話が変わるんだけど、いいかな?」
「はい、なんでしょう」
クロムは思ったよりあっけなく私の手を離し、いつもと同じ表情に戻った。
「私、もっとセレンファーレンのことについて知りたいの。資料室に行きたいんだけど案内してくれる?」
クロムは一瞬躊躇って答えた。
「…セレンファーレンのことについて知りたいのならば、メア皇子の元へ行ったらどうでしょうか。彼は読書家です」
「あ、いや、そういうことじゃなくて、歴史の本とか読みたいなって」
「アニ姫。いくらあなたが同盟国の姫だと言え、セレンファーレンの全てをお教えすることはできません。」
(さすがに国の全部までは無理だろうなぁ)
「ですから、ある程度権限を持っているメア皇子に聞けばわたくしも安心です。資料室などいかず、メア皇子の部屋をお勧めします」