〇ST赤と白の捜査ファイル(黒崎勇治中心)

□天才の苦悩
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一人の30代であろう男を、3人の男が追いかけていた。

男は、逃げ場をなくし壁を背に立ち尽くす。

そこへ、追いついたのは。


「はぁ、はぁ…もう逃げられないぞ!
あなたが犯人だっていう事は分かってるんだ!」


警視庁科学特捜班「ST」のキャップこと百合根友久。


「残念だが、ここまでだ。

…黒崎。」

「コクッ」


同じくSTのメンバー

赤城左門、黒崎勇治だ。


赤城に言われ、黒崎は二人の前に出た。

犯人を確保すべく、戦闘体勢に入る。


百合根「黒崎さん、気をつけて下さいよ!」

赤城「キャップ、お前はバカか。」

百合根「また、赤城さんは!
バカって何ですか!」

赤城「バカにバカと言って何が悪い。

黒崎にそんな心配は無駄だというんだ。」


二人が口喧嘩を始めた、その時。


犯人「うるせぇ!!
つ、捕まってたまるかぁっ!」


叫んだかと思えば、犯人は懐から折り畳み式のナイフを突き出したのだ。

向けられた黒崎は、


黒崎「っ!?」


先端恐怖症の黒崎は、ナイフを見た途端その場で身体が動かなくなってしまう。

恐怖が頭を支配していた。

身体は震え、呼吸が荒くなる。


黒崎「はっ、はぁ、はぁ…っ」


動かなくなった黒崎を見て、今だといわんばかりに犯人が走り出し黒崎に向かってナイフを降り下ろす。


赤城・百合根「「黒崎(さん)!!」」




黒崎「っ!!」


自分に向かう先端の恐怖に、抵抗出来ず来るであろう衝撃に目をつむる。




黒崎「っ……?」

が、いつまでもこない衝撃に不思議に思い目を開けると
目の前には、右腕を抑え地面に膝をつく赤城。


百合根「赤城さん!?

あっ、待て!!」


赤城の名前を呼び、犯人に体当たりし確保する百合根の姿だった。


赤城「…くっ。」


赤城の腕から地面に血が落ちる。


黒崎「!?…あ、かぎさんっ」

百合根「赤城さん!
大丈夫ですか!!

ちょっ、血!血出てますよ!!」


赤城は、右腕を抑えながら立ち上がった。


赤城「キャップうるさいぞ、騒ぐな。

出血もそう多くないし、ただの切り傷だ。
騒ぐほどの傷じゃない。」

百合根「ほんとですか?
もう、赤城さんも無茶しないで下さいよ〜。

あっ、帰って手当てしないと!」

赤城「俺は医者だぞ。
手当ては、自分で出来る。」


百合根と赤城が話しているなか、

黒崎は一人、未だにその場から動けずにいた。


百合根「黒崎さん?

大丈夫でしたか!
黒崎さん?」

赤城「黒崎!」


反応のない黒崎に赤城が大きめの声で呼ぶと、ハッとしたように顔をあげた。

黒崎は眉は下がり、いつもの黒崎とは思えないほどの表情をしていた。


赤城「黒崎、いつまで突っ立ってる。
行くぞ。」


赤城は、黒崎に何を言うでもなく歩き出してしまった。


百合根「えっ、ちょっと赤城さん!」
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