EXO
□被害妄想君と自意識過剰君の恋愛取り扱い説明書は只今、売り切れにつき。
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「ねぇ、ミンソク君?一緒に帰らない?」
ミンソクは周りから浮いているとクラスの子から聞いた。けれど、会話はする。自分から進んでその環境に居るのである。それと同時に俺は安心した。自分だけでなく周りにもそういう反応をしていた事が。
「…………誰?」
「ほら、非常階段の所であったでしょ?俺だよ、ルハン」
「何?」
「だーかーら、帰ろうって言ってるの。」
そう言っていた間にミンソクはイヤホンを差し込んでルハンの横を通り過ぎようとする。
「ねぇ、」
通り過ぎようとしたミンソクの腕をルハンが掴む。ミンソクの顔は恐らく怒っている顔である。片側のイヤホンをやや乱暴に外すと口を開いたミンソク。
「お節介か何か知らないけど、俺には迷惑。友達なんて要らないし。同情か何かをしてるのであれば他所でやってくれ。」
強く射抜くような一重の瞳は確かに俺を映し出しているが、ミンソクにとっては、あくまで映しているだけである。
冷めたようにそう発するとミンソクは俺の腕を力強く引き剥がしてそのまま歩いて行ってしまった。
教室に残された俺はと言えば、傷ついたというより余計に興味が湧いてしまったのである。