EXO
□残酷な純愛に祝福を
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「セフン、今日からお前の相手のジョンインだ。」
そう言って店の者が1人の男を連れてくる。
「あれ?俺この前違う名前の奴って聞きましたけど?」
「あぁ、アイツはもう買い手がついているんだ。」
ふーん。まあ、誰だって同じか。
「あぁ、それとジョンイン。セフンは新人だから色々と分からないことは教えてやってくれ。」
新人とはこの業界に初めて足を入れる者。
(新人……か、面倒だ……)
「一応俺らはカイフンって名前で暫く出される事になる」
店で人気なのはクリヨル、ルーミン、チェンレイ等だ。
人気な男達はそりゃ金になる。
男娼のように不特定多数に抱かれたりする訳ではなく固定の者を抱き抱かれるのだ。
違う点はそこと
人に見られながらすることである。
金持ち達は抱くことに飽きて視覚的に楽しもうと言った目的でこの店を開いたのだ。何とも悪趣味か話である。
店の名はEXO。
この街では知らないものは居ないほどに有名な老舗だ。
美男子であることがこの店に居られる条件。
そこで雇われた者達は見た目で振り分けられた役割を淡々とこなしていく。
ここの経営者イスマンは他にもいくつかの店を出している。
「ここの店のヤツらは優しいからすぐに慣れるさ、大丈夫。どうってことはない。」
この店に務める理由は色々である。俺は…………
「僕てっきり抱く側だとばかり……」
まあ、身長もルックスも見ればこいつは確かに抱く側と言ってもいいが、なんせアイツらが決めることは俺には分からねぇし。
「お前にそっちの需要があったって話だろ?」
よく見たら肌は俺と対照的に白くて、腰が細い。あんまりガツガツいったら折れそうだなぁ、なんて考える程度だった。
「宜しく……お願いします。」
「すぐに辞められると思うぜ?この仕事」
EXOは人気な男達の集まりですぐに買い手の話が来る。しかも2人セットってのが多いしな。
「まあ、これから先もしばらくは2人セットになるだろうけど……」
ポリポリ頭をかいているとふわりとセフンは笑ってそれがいいと言ったのだ。俺達は所詮金持ちの娯楽の一部だ。何を思ってそんな顔をするのか、俺は分からない。けれど純粋にセフンの笑顔は綺麗だと思った。