EXO
□全てのモノに恋が鳴る
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冷めた兄という認識しか俺には無かった。
「初めまして、ルハンです」
両親を事故で無くしたルハンを俺の両親が引き取った。
(すんげぇ綺麗な顔してる)
男なのに女みたいな顔をしてるな、と見ていたら目が合った。
なんとも言えない感情の無い目だった。
「じゃあ、セフン。後はアンタに任せるからね?ルハン君、自分の家だと思って寛いでね?」
「ありがとうございます。」
彼が笑顔でそう言ったので両親も安心したのかそのまま買い物へと出かけてしまった。
「………………」
「………………あの、」
沈黙を破ったのは彼からだった。
「え?はい。」
「宜しくお願いします」
そう言って年下の俺にさえ、彼は敬語を使ったのだ。
(これ以上踏み込んで来るなってことね。)
彼はそれから俺に教えられた空きの部屋へ案内してから部屋を出てくる様子は無かった。
「おはようございます」
朝食は必ず皆で食べる
これが僕の家の決まりだった。
「ルハン君、家には慣れてきた?」
母はそう言ってパンにジャムを塗ってルハンに差し出す。
「はい、お陰様で。」
「それは良かった。セフンもお兄ちゃんができた様で嬉しいだろ?」
父は新聞を読みながらニコニコとしていた。
取ってつけたような笑顔を僕の両親は見抜けていない。
(なんなんだ、この人)
まあ、他人の家に堂々とするのも変か、とそんなに深くは考えていなかった。