死神の追憶
□雷
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「…大丈夫ですか……?」
「えっ…あ…うん!!大丈夫だよだいじょ」
その続きを遮るように、ひときわ大きな雷鳴が響く。
「ぴぎゃあぁぁぁぁぁ!!!」
すると、こちらもひときわ大きな叫び声をあげた。
「……………………」
「…あ、あの…今のは…ね…」
「本当に大丈夫ですか?」
「…………大丈夫じゃないです」
やっぱり。風音の予感は当たっていたようだ。
レイダー曰く、雷と地獄のおどろおどろしい光景はどう頑張っても克服できそうにないらしい。
ふと、気になって質問をしたときにそう答えてくれた。
レイダーが大丈夫じゃないことを確認すると、風音はレイダーの隣にちょこんと座った。
「…雷…というか雨が止むまで隣にいるので…安心していいです…」
「…ははっ…何かかっこ悪いなぁ…自分より年下の子に頼っちゃって…」
「かっこ悪いのは元からですから」
「…そ…そっかぁ…」
隣で鼻を啜る音が聞こえた。
……雷が嫌いなとことか…少し弱虫なとことか…全部含めて好きなんですけどね……
聞こえないよう、心の中でそっと呟く。
少しでも彼の隣に長くいられるよう、止む兆しのない雨にそっと願った。