Dream


□第二話
1ページ/5ページ





銀狼との長期任務が終わって数日が経った。
名無しは誰も使っていない演習場に暗部の姿でいた。
そこで名無しは眼をゆっくりと閉じ、再度開いた。
開いた時には紫の眼が姿を表した。


そして目の前にある林を見つめた。

バキバキバキ………

「……」

指一本触れていない木々は次々と亀裂が入り、枝が折れ、倒れた。

「…いるんでしょう。銀狼。」

「気付かれていましたか。」

「この程度、わからないと総隊長は名乗れないわ。」

「ふ…そうですね。」

銀狼は名無しの前に姿を表した。

「今の見てたでしょう?」

「…えぇ。」

「これは私の眼の力。」

「眼の…」

銀狼は名無しの面の穴から見える眼を見つめた。
そこからは微かに紫の眼が見えた。

「紫色ですね。」

「これは、“紫霊眼”というの。」

「なるほど、血継限界ですか。」

「えぇ。でもただの血継限界じゃないわ。」

「それはどういう…」

銀狼が言い切る前に名無しは銀狼に近付き、頭に触れ顔を寄せた。
名無しは眼を閉じ、再度開いた。

「っ写輪眼!?」

銀狼が見たものは先程の紫ではなく、赤い、うちは一族だけが開眼する写輪眼。

「えぇ、そうよ。」

「何故うちは一族の血継限界を貴女が…貴女はうちは一族なのですか?
いや、しかしあの時貴女は影真似の術を…」

銀狼は動揺を隠せなかった。
あの時の影真似の術だけでなく、写輪眼まで。
しかし彼女には既に違う血継限界がある。

「これは私の眼“紫霊眼”の力。この眼は写輪眼や白眼等を持つ忌まわしい眼…。」

「…そんな眼が」

「ここに存在するのよ。この眼は誰もが喉から手が出る程欲しがる。
ただ写輪眼や白眼等を使えるだけじゃない。
一族のみというのにとらわれず術のコピーはもちろん、さっきみたいに触れずに破壊する事もできる。
これは私の眼が持つ万物の操作。
この世界のどんな物でも自在に操れる。見えてなければ駄目だけれどね。」

名無しはそういうと銀狼から手を離した。

「だからあの任務の時も…」

「えぇ。この眼よ。」

「……貴女は一体、」

「今教えられるのはここまでよ。
この眼の事は貴方以外に二人しか知らないわ。」

「…一人は、火影様ですか。」

「えぇ、そうよ。でも三代目に聞いても何も答えないと思うわ。
それじゃ銀狼、私はもう行くわ。」

名無しはそういうと瞬身で去った。

「…………、」

ただ一人残された銀狼は、暫く裂かれた木々を見つめていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ