大切なもの


□ごめんね、また会えるかな
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「ユウナ、任務だ」



朝、暁の誰かが私を迎えに来る。黙ってそれについて行って言われるがまま時が過ぎるのを待つ。戦闘には参加しない、遠巻きに眺めるだけ。誰かが負傷したら呼ばれて治す。終わったらアジトに戻る、そしてまた朝が来る。その繰り返し。


こんな生活を続けて早くも1ヶ月が経とうとしていた。


今日も任務に連れて行かれて今さっき戻ってきた。割り振られているアジトの部屋でぼーっと何もない場所を眺める。考えるのは木ノ葉のことばっかりでそんな自分に呆れて笑いさえ込み上げてくる。


未練がましいなぁ。もう二度と戻ることはないというのに。とは言いつつもやっぱり浮かんでくるのはみんなの顔で。

紅は酒を飲み過ぎてないだろうか。アスマは煙草吸い過ぎてないかな。ふたりはうまくいったかな。幸せだといいなぁ。ナルトは野菜ちゃんと食べてるかな。無茶苦茶やって、怪我なんかしてないかな。それから、それから…。



「…カカシは、元気かな」



私はいつからカカシのことが好きだったんだろう。自分で気づいてないだけで結構前からだったのかな。
ずっとずっと、子供の頃からカカシは大切な存在だった。カカシも私も、今まで大事な人を何人も失ってきて。だからかなぁ。同じ境遇だから、もしかしたらオビトやリンとは少し違った感じだったのかもしれない。嬉しかったなぁ、カカシに好きだって言われたとき。びっくりしたけど、やっぱり本当に嬉しかった。



「…だめだ、忘れよう」



いくら考えたって木ノ葉に戻れるわけでもないんだ。
なら無駄なことは考えない。虚しくなることは、しない。

頭でそうは思うものの、心はやっぱり忘れてなんてくれないわけで。



「…さみしいなぁ」



それでもやっぱり、みんなに会いたい。
会って、ごめんねって謝りたい。謝ってすむ問題じゃないけど、それでも…。

やっぱり未練がましいや私は。まだみんなのことが、カカシのことが大好きなんだから。



「…ごめんね、みんな」



ぽつりとその言葉を呟くと同時に溢れたのは、冷たい涙だった。





ごめんね、また会えるかな
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