大切なもの


□師弟というもの
1ページ/1ページ







「失礼します」



10年ぶりに帰ってきた故郷。
コンコンとノックをしてギギッと音を立てる重厚な扉を開けると、変わらない人がいて安心したりするわけで。



「ほぉ、ユウナか。久しいのォ」

「ご無沙汰しております、三代目様」



煙管を燻らせながら振り返る三代目は心持ちお年を召された気がする。それもそうか、10年だもんなぁなんて苦笑いにもなる。



「10年ぶりか。立派になりおって」

「そんなそんな」

「長い間綱手の元で過ごすのは骨が折れたじゃろう」

「え、えぇ、まぁ…ははは」



三代目と綱手様は、醸し出す優しい雰囲気がなんとなく似ている。さすが師弟だ。



「ところでどうした、急に帰ってきおって」

「はい。綱手様に木ノ葉に戻って三代目の手助けをしろと言われまして」

「…そうか。綱手の奴、相変わらずか」

「たぶん今日も元気にカモになってるでしょうね」

「まだ懲りとらんのか彼奴は」

「まぁ、それが綱手様ですから」



頭に浮かんだ師のニタッと悪そうに笑う顔に苦笑いを浮かべると、三代目は呆れたような、でも弟子を思うとても優しい顔をしていた。師弟関係ってやっぱり良いな、なんて素直に思う。



「聞いとるかもしれんが、今この里は忍が不足しておる。医療忍者だとよりそれが際立ってしまっておってな。そんな折に優秀な医療忍者であるお主が帰ってきてくれるのは里としてとても助かる」

「はい」

「じゃが、せっかく10年ぶりに帰ってきたんじゃ。まずは少しゆっくりすると良い」

「ありがとうございます」

「家はこちらで早急に用意しよう。お主は皆に挨拶でもして来い。今後のことはまた改めてじゃ」

「はい」



「失礼します」と頭を下げて執務室の扉を閉めれば、いつの間にか体に入っていた力が抜けた。
三代目はとても優しくて思いやりに溢れた方だけど、やっぱり威厳やオーラがあって話すときは未だに少し緊張する。師の師だから尚更なのかもしれないなぁ。あの方は私の大師匠にあたる方だから。


ふーっと息を吐いて肩を回す。
さて、久しぶりの木ノ葉だ。まずは…あそこだな。
目的地に向かって歩を進める。どうやらあそこへの道は10年経った今も変わっていないらしい。






師弟というもの
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ