大切なもの2

□振り返って見た先には
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「サスケ、ちょっと話さない?」



雲隠れの人柱力である八尾を狩ることを条件に暁入りしたというサスケ達、鷹。
そこに放り投げられてる八尾の人柱力を横目に私はサスケにそう声をかけた。途端に赤い髪の女の子がぎろりと私をにらんできたけど、水色の髪の男の子が「香燐、落ち着きなって」となだめてくれて、もうひとりの男の子はその場を後にする私とサスケをじっと見ていた。



「…それで、どうしてここに?」

「…」



アジトを出て、近くにあった石に腰かける。一息ついてからそう声をかけるとサスケはだんまりを決め込んだ。



「暁はあんたも知ってる通り危険な場所だよ。今はメンバーも減ったけどそれでも脅威なのは変わってない。なによりあいつらはナルトの中の九尾を狙ってる。あんたは本当にそれでもここにいるの?」

「…力がほしい」

「力?」

「俺は弱い。兄貴に守られることしかできなかった」

「…」

「俺は、鷹を率いていずれは尾獣の力も使って、木ノ葉を潰す…!」

「…いい加減にしなよサスケ」



地面をにらみつけたままそういうサスケの頬を思わずはたいていた。
あんたは何もわかってない。あんたを連れ戻そうとするナルトやサクラちゃんやカカシやみんなの気持ちも、あんたを守るために散っていったイタチくんの想いも。



「私言ったよね。あんたが選ぶ道がイタチくんの遺志だって、だからあんたは間違ったことをしちゃいけないって。それでもあんたは木ノ葉を潰すことしか考えられないの」

「…」

「イタチくんはあんたのことも木ノ葉のことも守って散っていった。なのにイタチくんに守られてたあんたが、イタチくんが命を懸けて守った里を潰して喜ぶと本気で思ってんの」

「…あんたに俺の何がわかる」

「わかんないよ、今のあんたの気持ちなんて」

「…」

「私はあんたを信じてた。イタチくんの想いをちゃんと受け取ってくれるって。これじゃまるで、イタチくんの死が無駄みたい…」

「お前がイタチを語るな」

「!」



そう言ってぎろりと私をにらむサスケに息をのんだ。
サスケの写輪眼が、この間とは違う模様になってる。これがサスケの万華鏡写輪眼か…。そんなことを思いながら、イタチくんの眼を思い出す。



「サスケ、その眼はあんまり使わないほうがいいよ。いずれ何も見えなくなる」

「…うるさい」

「…イタチくんも、そうだった」

「!」

「あんたと最期に戦ったときにはもうきっと、はっきりとは見えてなかったと思う。それぐらいその眼は負担が大きい。使えば使うほどどんどん見えなくなっていくよ」

「…この目は、兄貴が俺に残した最後のものだ。俺がそれを使わないでどうする」

「…今のあんたに何言っても無駄みたいだね」



屁理屈ばかりを並べ立てるサスケにため息をついて立ち上がった。
まだこの子は混乱してる最中なんだ。たしかにイタチくんのことはそう簡単に割りきれる話じゃない。だけど、それでもサスケがした選択を、この子が暁に入ったことが納得できなかった。



「…サスケ。最後にひとつだけ言っておくよ」

「…」

「今のあんたじゃ、絶対木ノ葉は潰せない」

「!」

「冷静になりなさい。自分の進んできた道を思い返してみな」

「…っ」



はっ、と目を見開いた後考え込むように目を伏せたサスケに背を向けてアジトへ戻った。

サスケ。
きっとあんたならわかるはずだよ。自分がどんな道を進んで、どれだけの人を傷つけてきたのか。頭を冷やして、考えて。


アジトへ向かった私とすれ違うようにサスケの元へ向かうマダラ。サスケに何かするつもりか、と警戒しながら足を止めて振り向けば、サスケの前に立ち止まったマダラがじっとサスケを見ている。

…なんだろう、嫌な予感がする。



「サスケ。お前たちは任務失敗だ」

「…あんたに言われた通り八尾の人柱力は狩った。そこにいるだろ」

「いいや、あれは分身だ。八尾の得意技、タコ足のな」

「!」



マダラの言葉にアジトを見ると、さっきまでたしかにいた八尾の人柱力キラービーの姿はなく、そこにあったのはマダラの言う通りタコ足の先端。
…うまく逃げられたんだ、よかった。



「それにお前はもうひとつヘマをした」

「…」

「雷影がお前を追っている。八尾捕獲の際に正体がバレたんだろう、やはり詰めが甘いな」

「…っ」

「まぁそのことはいい、八尾の捕獲には鬼鮫を向かわせた。それよりお前にいい情報をやろう」



面をしてるはずのマダラだけど、面の下でもにやりと笑っているとわかる声色で、マダラは続けた。



「ダンゾウが、六代目火影として五影会談に向かっている」





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