大切なもの2

□夢であれと願ったけれど
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「…戻ってきちゃった」



うす暗い洞窟の入口を眺めて独りごちる。
3年間、寂しい思いも苦しい思いもした、それでも逃げられなかった場所。大切なものを、大切な人を守るために私は抜け忍になった。守りたいものを捨てて、やっとみつけた愛する人も裏切ってここへ来た。絶望や悲しみ、罪悪感や寂しさ。いろんな負の感情が私の心にいっぱいになってた。

だけど今はちがう。
私には、心の底から信頼できる仲間がいる。大切なみんなを守るために、大切な弟分を闇から救い温かい場所へ帰すために。

私はやっぱり、この道を選んだ。



「…ふう」



目を閉じて深く息を吐く。
3年前とは気持ちが違う。今は、なんだか清々しい気持ちすらする。ここを前にしてもこんなに落ち着いていられるのは、ちゃんとみんなに気持ちを伝えたからかもしれないなぁ。



「戻ったのか、ユウナ」

「!!」



突然背後から聞こえた声に弾かれたように振り返ると、まるで何事もなかったように話しかけてくるマダラがいた。
きっとこいつは、私がなんでここを出ていったか知ってるはずだ。その上でわざと素知らぬふりをしてるんだろう。やっぱり掴めない男だ。



「まぁ、お前がどんな経緯を経たにせよ戻ってくれて助かった」

「…」

「前にも言っただろう。お前ほどの医療忍者はみすみす逃さんとな」

「…っ」

「さて、お前がいない間に新メンバーが入ったんだ。紹介しよう」



そう言ってすたすたとアジトへ入っていくマダラの背を追った。
数週間ぶりに入ったアジトはやっぱり陰気臭くて、いるだけで気が滅入る。それにしても、このタイミングで新メンバーが入るなんていったいどんなやつなんだろう。正直、当たってほしくない勘が働いて仕方ないけど、もしかして…。



「ユウナ、新メンバーの鷹だ」

「!!」



広がった空間のその先にいたのは、水色の髪のやんちゃそうな男の子に物静かな、でも存在感を感じる男の子、赤い髪のメガネをかけた女の子に…



「…ユウナか」

「サスケ、」



私が木ノ葉に帰すと決意した、大切な弟分だった。





夢であれと願ったけれど
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