大切なもの2

□溢れる想いに誓いを込めて
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「…そうだ、ユウナさんからの手紙、」



ナルトと別れて家に帰ってきて、自分の部屋のベッドに腰を下ろす。
なんか、今日一日でいろんなことを立て続けに聞いて頭の中がパニックになってる。サスケくんのこともユウナさんのことも、まだ整理しきれてないし受け入れきれない。綱手様もまだ目覚めてないのに…いや、だからだ。拒否されることがないからダンゾウが火影になったんだ。

あまりいいうわさを聞かないあの人が火影になるなんて、この先木ノ葉はどうなっていくんだろう。たしかサイはダンゾウの部下なんだっけ。今度詳しく聞いてみよう。でも聞いたところで私に何かできることはあるのかな。何より先に、一日でも早く綱手様に目を覚ましてもらいたい。


そんな混乱する頭を落ち着かせようと、ふーっと息を吐いてカカシ先生からもらったユウナさんからの手紙の封を開ける。
薄桃色の封筒の中には同じ色の便箋が入っていて、それにざっと目を通すとどれにもとても綺麗な、それでいてとても優しいユウナさんらしい字が広がっていてなんでだか無性に泣きたくなった。

ゆっくりと、刻み込むように手紙を読み進めていくと、溢れてくるのはやっぱり涙で。
やっぱり、私の目標はユウナさんだ。私はやっぱり、ユウナさんみたいに力だけじゃなくて心も強いくノ一になりたい。そう思う気持ちが強くなった。



「ユウナさん…」



せっかく憧れの人からもらった初めての手紙をくしゃくしゃになるほど握りしめた。
それと同時に、なんでユウナさんばっかりがこんな重荷を背負わなきゃいけないんだって。ユウナさんだって幸せになってほしい。誰よりも人の痛みがわかるユウナさんだから幸せにならなきゃいけないのに。こんなにも真っすぐ他人のことを想う、想えるユウナさんはやっぱり強いや。

そう思うと、ユウナさんが苦しい思いばかりするこの世界が、この時代が無性に憎らしく思えて胸が苦しくなった。

だけど、こんな世界でもユウナさんは守りたいと思ったんだ。なら私がここで立ち止まって泣いてばかりはいられない。ユウナさんのほうが私の何倍も何倍も苦しい思いを抱えて生きてるんだ。
             
もっと、強くなろう。ユウナさんのように。





サクラちゃんへ。


まず最初に、立派になったね。素敵な女性になった。綱手様の弟子になったのには驚いたけど、今なら納得。サクラちゃんなら私なんか軽く越せる素質を持ってるよ。
姉弟子である私がこんなのでごめんね。サキちゃんとシズネからサクラちゃんが私に憧れてくれてるって聞いて、本当に嬉しかった。もっとサクラちゃんが大きな声で誇れる人であれればよかったんだけど、本当にごめんなさい。でも、ありがとう。

サクラちゃんは昔からずっとサスケのことが好きだよね。そのことを話したことはなかったけど、なんとなくわかる。
この前はサスケのことを忘れろなんて言ってごめんね。そう簡単に諦められるほど軽い気持ちじゃないよね。その時にも言ったと思うんだけど、サスケは今闇の中にいて、自分がどう生きていけばいいか、これから何をして生きていけばいいかをわかってないと思う。
だけど、安心してね。サスケのことはきっと私が木ノ葉へ帰すから。サクラちゃんのその真っ直ぐな気持ちもきっとサスケに届くよ。私を信じてください。そして、サスケのことを信じていてあげてください。

もっといろいろ、姉弟子としても医療忍者の先輩としても直接教えてあげたかったんだけど、急いだほうがいいと思ったので代わりに手紙にしました。これからも苦しいことやつらいことや泣きたいこともあるかもしれないけど、これだけは忘れないでほしい。
あなたはひとりじゃない。きっと近くに支えてくれる仲間がいるから、我慢しないでその人たちを頼ってね。それじゃあ、またね。





溢れる想いに誓いを込めて
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