大切なもの2

□未来への架け橋
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「これ、ユウナからアスマたちにって」



カカシの話によると、ユウナはやることがあるってまた里を出たらしい。ったく、あいつは相変わらず落ち着きのねぇやつだっつの。やっと3年ぶりに帰ってきたかと思えば1週間やそこらでまた出てったってんだからよ。それに今度は俺にも何も言わずにかよ、紅のやつまた怒んだろうなぁ。
そんなことを考えながらカカシから“アスマと紅へ”そう書かれた手紙を受け取った。



「で、お前は知ってたのかよ。ユウナがまた出てくこと」

「あぁ、こないだ聞いたんだ。止めたんだけど、ほらあいつ頑固でしょ?言い出したら聞かないからさ」

「そりゃそうだが、お前はそれでよかったのか?」

「…ま、言いたいことは言えたから」



「今度はちゃんと見送りもできたしね」そんな風に言いながら困ったように笑うカカシにそうかよと返した。お前がいいなら、俺からはもう何も言わねぇよ。

そんなカカシに礼を言って紅の待つ仮設の家へと帰る。



「おかえりアスマ」

「おう。あのよ、紅」

「なに?」

「これ、ユウナから俺たちへの手紙だとよ」

「手紙?急になんで?」

「…あいつ、やることがあるとかなんとかで、また出てったらしいんだわ」

「は?」



みるみるうちに眉間の皺が濃くなってく紅に冷や汗が垂れる。
ったくなんで俺がこんなにヒヤヒヤしなきゃなんねぇんだっつうの。ユウナの奴、帰ってきたら覚えてろよ。



「また黙って?」

「…あぁ。みんなに会ってから行くと辛くなるからってよ。今度はカカシだけに言ってったらしい」

「…まったく。私のお説教の意味ないじゃないあのバカ」



そんな風にため息をついて困ったように笑う紅の隣に座り、手紙を開いた。





アスマと紅へ。


黙って出てってごめんね。どうしてもやらなきゃならないことがあってまた木ノ葉を出ることにしました。いつも勝手で本当にごめんなさい。でも約束します。絶対にいつかまた帰ってくるから、その時にはもうきっと2人の子供も生まれてると思うから会わせてね。

子供の名前、私に任せてくれて本当に嬉しかった。2人みたいな仲間がいてくれて幸せだなって思ったよ。もう1枚の紙に私なりに精一杯気持ちを込めて考えた名前を書いて入れておきます。だけどやっぱり2人の子供だから2人がつけたほうがいいと思うんだ。だからよければ参考にしてください。

次に会えるのはいつかわからないけど、きっと次は2人の大切な子供と一緒に会えるように、その日が早く来るのを願ってます。とても可愛い子になるようなそんな気がします。
アスマ、禁煙頑張れ。紅、元気な赤ちゃん産んでね。そして2人ともお酒は控えるように。
きっと2人はいいパパとママになるよ。私が保証する!それじゃあまた。





ユウナらしくねぇ綺麗な字でそう書かれた手紙に、少しだけうるっと来ちまった。


なァ、ユウナ。
お前は知らねぇかもしんねぇけど俺、子供ができたってわかったときからすっぱり煙草はやめてんだぜ?そんで紅はもちろん俺もしばらく酒は飲んでねぇ。昔の俺たちからじゃ想像もできねぇだろ。

同封されたもう1つの紙には、さっきの手紙のどれよりも丁寧に書かれた字があって。そんな字を見てるとあいつがどんなに想いを込めてくれたのかっつーのがひしひしと伝わってきてよ。



「…猿飛ミライ。いい名前ね」

「あぁ、俺たちの子供にぴったりだ。お前もそう思うだろ?…ミライ」



紅の腹に手を当てて早速決まった名前を呼べばぽん、と蹴りやがった俺たちの玉。
どうやらあいつが考えてくれた名前をこいつも気に入ったらしい。そんな愛しい我が子に紅と顔を見合わせて笑った。



「あれ?続きがあるわよ」

「お、本当だ」





追伸
もしカカシが悩んでる時があったら、ヒアシさんに渡してるものがあるので行くように言ってください。よろしくね親友たち!





下手くそな笑顔のマークが描かれた最後の一文にユウナらしいな、なんてまた笑った。ったく、どこまでもカカシに関しては心配性なやつだっつうの。


ユウナ。いい名前ありがとな。参考も何も、お前にもらった大切な名前だ、これ以上のもんはねぇ。カカシのこともわかったぜ、俺たちも気にかけとくからよ。ま、お前に何も言われなくてもそうしてたがな。


そんで、早く帰ってこい。きっと今度は、家族3人で待ってるからよ。





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