大切なもの2

□あんたと毛布は似てる
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「あのときは、アスマ先生を助けてくれて本当にありがとうございました」



深く頭を下げるいのとチョウジを見て俺も黙って頭を下げた。
アスマが倒れた時、俺は目の前が真っ白になった。そんで柄にもなく目の前でにたにたと楽しそうに笑う飛段を殺してやりてぇと思った。アスマは俺にとって尊敬するたった一人の師だ。そんな俺が知ってる中で誰よりも強い師が、格好良くて優しい師が目の前で倒れていくのをただ眺めて泣くしかできなかった自分にも無性に腹が立った。

飛段と角都をカカシ先生の助けもあってどうにか倒した後、数日経ってやっと目を覚ましたアスマにユウナさんのことを聞いた。
アスマにカカシ先生、ガイ先生や紅先生と同期のくノ一。五代目の一番弟子で優秀な医療忍者。その五代目に次ぐ腕の持ち主でシズネ先輩やサクラ、いのの姉弟子でもあるそんな人。なんで暁にいるのかって言えばそれは木ノ葉や綱手様を守るためだったわけで。だから俺に飛段の弱点を教えたりアスマがやられたとき必死に助けてたってことかとやっと腑に落ちた。

そんなユウナさんが、やっと帰って来た。
この人には何度感謝を伝えても伝えきれねぇ。瀕死のアスマを助けてくれてその上非難を承知で里に帰ってきて全力で負傷者の治療をしてくれた。足が折れてた俺がこんなに早く松葉杖なしで歩けるようになったのもこの人のおかげだ。あのとき感じたこの人のチャクラはあったかかった、全てを包み込んでくれるようなそんなチャクラだった。



「もういいから、3人とも頭上げてよ」



困ったような声でそういうユウナさんにゆっくりと頭を上げた。
するとやっぱり困ったように笑っててよ。そんな姿を見てこの人は格好良いなんて思う俺がいて。



「アスマはね、私の同期なの。大切な仲間だから助けた、それだけなんだよ。みんなだって私と同じ状況だったらそうするはずだよ?」

「…それは…、でも私ではアスマ先生は助けられなかったんです。私も同じ医療忍者で同じ綱手様の弟子なのに、ただ泣くことしかできなかった…」

「いのちゃんだっけ」

「…はい」

「じゃあこれからはもっと優秀な医療忍者になれるように努力しなさい。あのときのことが悔しかったならね。きっとあなたはこんなところで泣いてるだけで終わる人じゃない。もっともっと強く、賢くなれるはずだから。あなたも私と同じ綱手様の弟子なんだからね」

「っはい」



目に涙を浮かべるいのに優しく笑いかけたその顔にどこか五代目の面影を感じた。



「ほらチョウジくんもシカマルもそんな顔しないの。せっかくみんないい顔してるのにもったいないよ」

「…んでも、まじでいろいろ助かりました。ありがとうございました」

「うん、その言葉だけで十分。ほらみんな笑ってよ、その方が私も嬉しいし」



「どうもこういう話苦手なんだよね」
そう言って照れ臭そうに頬を掻くユウナさんに3人で顔を見合わせて笑った。

もう1回礼を言ってユウナさんのいるテントを出る。



「ユウナさん、いい人だったね」

「えぇ。私もユウナさんみたいな格好良い人になりたい」



前を歩く2人のそんな会話が聞こえる。
今なら、なんでアスマやカカシ先生たちがあんなに必死にユウナさんを連れ戻そうとしてたかがわかる。ただのいい人ってだけじゃねぇ。一本筋の通った、熱い火の意志を持ってる人だ。人としても忍としてもこんな風に生きてぇ、そう思う。女なのにサバサバしててよ。んでもどっか守りたくなる不思議な雰囲気を持った人。



「ねぇ、シカマルあんたもそう思わない?」

「…そうだな」

「え、やだなんかえらく素直じゃない気持ち悪い」

「うるせぇ」

「よーし!なんかやる気みなぎっちゃってるから久しぶりに修行でもしよっかなぁ!シカマル、チョウジも付き合いなさい!」

「えぇっ、ご飯は!?」

「ご飯なんて修行終わった後でもいいでしょ!ほら、早く行くわよ!」

「めんどくせぇな」



つっても、俺があの人を守るなんて土台無理な話で。五代目の一番弟子っつーことは並外れた医療忍者でかつサクラ以上の怪力の持ち主だろうしな。んでも俺ももう守られるばっかでいられる歳でもねぇ。もうアスマのときみてぇなあんな苦しい思いしたくねぇし、これからの里を担う未来ある子供たちにもさせたくねぇ。

そのためには、俺も強くなんねぇとな。



「おら、行くんだろ修行」

「え?えぇ、いつになくやる気ねシカマル」

「ま、いつまでもめんどくせぇって言ってらんねぇっつーことだよ」

「…それもそうね」

「それじゃあ、修行の後はアスマ先生も誘って焼肉Qに行こうよ!仮設の建物で臨時営業してるんだって!」

「あぁ、そうするか」

「今日は頑張るわよー!」



ユウナさんみたいに、命を懸けて里を仲間を守りてぇ。そう思うから。





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