大切なもの2

□仲間の幸せ
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「まったく!どれだけ心配かければ気がすむのあんたは!」

「ごめんなさい」



目が覚めてから今日で2日。でもまだ体は言うことを聞いてくれなくて、上半身を起こすのがやっと。

カカシたちの話によると私は3日間眠りっぱなしだったらしい。まぁ、たしかに相当な無茶してる自覚はあったけどあの状況では仕方ないと半ばヤケになってる私がいる。

そんな私の元へお見舞いに来てくれたのは紅。里を出たとき私が何も言わなかったことをとてつもなく怒ってて、でもそれより何より寂しかったらしい。だからどんなに怒鳴られても受け止める。ごめんね、紅。



「ほんっとに!あんたって子は!」

「…すいません」

「…だけど、本当にありがとうユウナ」

「?」

「あんたがアスマを助けてくれたんでしょう?」

「…あぁ、」

「実は私、お腹に子供がいるの」

「!」



「アスマとの子よ」
そう言う紅のお腹はたしかに大きくて。見た所もうすぐ臨月なそんなお腹。

そっか、アスマと紅が親になるのかぁ。へへ、なんだか嬉しいな。自分のことみたい。アスマと紅の子、絶対可愛い子になるじゃん。なんだか私まで幸せになるよ。



「あんたが助けてくれなきゃ、今頃アスマは…」

「そんなこと言わないで紅。私は当たり前のことしただけだから」

「だけど…」

「仲間がピンチなら助けて当たり前でしょ?現にあの場所でアスマを救えるのは私しかいなかった、だから助けた。それだけだよ。なによりアスマは私にとって本当に大切な仲間だからさ」

「…ありがとう」



2人の子供は幸せだね。みんなに愛される子になるよきっと。いや、絶対。
ならなきゃ私が許さないんだから。



「よォ、やっと起きたのか」

「!アスマ」



声のかかった入り口を見ると、数日ぶりのその大切な仲間がいて。
どかん、と紅の隣に座ってぴたっと密着してる。…おいおい、私の目の前でいちゃつかないでくれ。

そうは思いながらもやっぱり2人が幸せそうなのを見るとこっちまで幸せになる気がして。



「あー、あのよユウナ」

「ん?」

「…ありがとな、助けてくれて」

「だからいいって、2人が幸せならそれで」

「…おう」

「ま、私から一言言うとすれば、」

「?」



そう言葉を切った私を不思議そうな顔で見る2人。
夫婦って似るって言うけど本当なんだなぁなんて思うほどそっくりな顔をしてる2人に思わず笑った。



「んだよ」

「はは、ごめんごめん。とにかく、家族3人で幸せになってってこと!」

「…あぁ」

「もちろんよ」

「ならそれでよし!」



そう言ってにっ、と笑うと2人は顔を見合わせて笑った。
そんな光景が昔に戻れたような気がしてやっぱり木ノ葉はいいなぁなんて思うわけで。



「なんかユウナらしいわね」

「そう?」

「そうよ」

「そんなお前にひとつ頼まれてほしいことがあんだけどよ」

「なに?」

「今度生まれて来る俺たちの子供の、名付け親になってくんねぇか?」

「!」



…名付け親?



「…私が?」

「お前以外に誰がいんだっつーの」

「前からアスマと話してたのよ。この子が産まれるまでにユウナが帰ってきたら名前をつけてもらおうってね。アスマの命の恩人で私の親友のあんたに」

「…っ」



当たり前のようにそういう2人にぽろっと涙が溢れて。
名前って言えば親が子供にあげる最初のプレゼント。そんな大切な役目を私に担ってくれて嬉しいけど私は抜け忍、いわゆる大罪人だ。ずっとここにいるわけにもいかないしそんな私は名付け親なんてしちゃいけないんじゃないだろうか。する資格が、ないんじゃないかな。



「あのなぁ…俺らはお前以外に頼む気ねぇからな」

「!」



ため息まじりに頭をガシガシ掻いてそう言うアスマに目を見開いた。



「自分が抜け忍だなんだごちゃごちゃ考えてんだろうけどよ。お前は自分の火の意志を貫くために里を出たんだろうが」

「!なんで、それ…」

「カカシに聞いたんだよ。お前が木ノ葉と綱手様を守るために里を出たってな。だからお前は抜け忍なんかじゃねぇ。立派な火の意志を持った木ノ葉の忍だ、何も恥じることはねぇよ」

「…アスマ、」

「だから俺たちはお前にこの子の名付け親になってほしいんだ。な?紅」

「えぇ。あんた以外にこんな適任はいないわ」



そう言って微笑みかけてくれる2人に涙が止まらない。
なんてあったかいんだろう。そして、私は本当にいい仲間を持った。この2人が仲間でいてくれることが本当に幸せだ。



「…こんな私でよければ、ぜひ」

「ありがとう」

「いい名前、頼んだぜ」



そう言ってにっ、と笑うアスマにこくん、と頷いた。





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