大切なもの2

□空白なんてどこにもなかった
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「カカシ先生、ユウナの姉ちゃんってば大丈夫なのか?」



ユウナが倒れて今日で3日。
任務を終えたナルトがサクラと一緒に見舞いにきた。俺はというと、任務のないときはずっとこのテントにいる。ユウナがいつ目覚めてもいいように、こいつが目覚めたときそばにいてやりたいとそう思うから。そんな俺の気持ちを汲んでくれたのか、ここは綱手様のいるテントの隣にある。



「命に別状はない。ただ、こいつ相当無茶したみたいなんだよ。みんなを助けるためにって」

「なんか、ユウナの姉ちゃんらしいってばよ」

「そうだな」

「ユウナさん、自分の傷の手当てもしないでずっと負傷者の遠隔治療をしてたんです。カツユ様も先にユウナさんの手当てをって言ってたんですけど…」

「…こいつは頑固だから。一度こうと決めたら誰が何を言おうと譲らないんだよ。それでいっつも限界寸前でぶっ倒れるんだ」



「困ったもんだよね」
そう言った後、乾いた笑いがこみ上げてくる。
シズネが言ってた通りだったね。綱手様が倒れて弟子である自分が代わりを果たさないとってそう思ったんだろう。やっぱり、なんともお前らしいよ。



「私もユウナさんを助けたかったんですけど、力不足で…」

「大丈夫だよサクラ。きっとユウナはお前が成長してることを喜んでるさ」

「そうだってばよサクラちゃん。ユウナの姉ちゃんはそんなこと気にしないってばよ」

「…だといいんだけど」



悔しそうに俯くサクラを安心させるように微笑みかける。
するとそのとき、目の前にいるユウナが「んっ、」と唸ったと思えばゆっくりと目を開けて。



「!ユウナの姉ちゃん!」

「ユウナさん!」

「…あれ、ナルト?サクラちゃんに、カカシまで…」

「はァーよかった!やっと気が付いたんだな!俺ってば心配で任務どころじゃなかったってばよ!」

「…私、なんで…?」



起き上がろうとしたけど顔をしかめて布団に逆戻り。
そんなユウナに布団をかけ直しながらやっぱり安心してふーっ、と息を吐く俺がいる。



「お前、結構重傷だったのよ。傷だけじゃなくてチャクラも切れかけてたし。ナルトが帰ってきてすぐぶっ倒れたんだ。ったく、どんだけ無茶したらこうなるの」

「…そう、だったんだ。ごめん」

「…でも、生きててくれてよかったよ」

「…うん、」

「ユウナさん、診せてください」

「ありがと、サクラちゃん」



てきぱきとユウナを診察していくサクラと、ユウナがいなかった間のことを身振り手振りに擬音を交えて必死に伝えるナルトの姿を見ながら何度目かわからないほどこいつが本当に帰ってきたんだと実感する。

やっぱり情けないけど、ナルトの話を嬉しそうに聞くユウナを見てたら少し目が潤んでる俺がいて。



「そんでさ、そんでさ!…ん?あぁっ!カカシ先生泣いてんのか!?」

「…うるさいよナルト」

「嘘つくなってばよォー!へへっ、やっぱ嬉しいんだなカカシ先生ってば。ユウナの姉ちゃんが帰ってきて」

「…そりゃそうでしょ。ずっと待ってたんだから」



にやにやと笑うナルトから顔を反らしながら口元が緩むのは仕方ない。「あんたほんっとにデリカシーないわねバカナルト!」「いでェっ!」とサクラの拳骨が落ちて涙目になるナルトに思わず笑った。



「…やっぱいいね、木ノ葉は」

「あぁ、大切な場所だよ」

「…あったかいや」



しみじみそんなことを言う優しい顔のユウナに、心の中でもう一度おかえり、といった。





空白なんてどこにもなかった
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