大切なもの2

□あの日誓った夢がひとつ
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「よくやったな」

「カカシ、先生…」

「そのまま背にいろ」



カカシ先生ってば生き返ったんだな、本当によかった。


今日はいろんなことが起こった1日だったってばよ。
じいちゃん仙人と修行してたら木ノ葉がやられたって聞いて飛んで帰ってきたら、ボロボロになった里があってよ。ペインと戦ってるときに飛び込んできたのは、やっと帰ってきたユウナの姉ちゃん。そんな姉ちゃんの目は復讐に染まってて、ボロボロになってまで止まらねぇ血を流してまで立ち向かってる姉ちゃんの気持ちを俺が受け取った。

そんでもやっぱあいつってば強くてよ。
いよいよやべぇかもって思ったときに俺を助けに来たヒナタがやられて、そっからはあんまし覚えてねぇ。むちゃくちゃ腹が立って、こいつを殺してやりてぇと思ったってことしか。

気づいた時には最後のペインを倒してて、長門に会いに行った。長門も小南も、そんで最後に倒したペインの元の弥彦って人も俺と同じエロ仙人の弟子で、やっぱ同じ師を持つ弟子同士、思うことは同じだってわかったってばよ。

長門が命を懸けて木ノ葉のみんなを生き返らせてくれて、最後に小南と約束した。俺はずっと、枯れねぇ花になるってよ。


そんなことがあって、木ノ葉へ向かう帰り道。
さすがにくたくたになって倒れそうな俺を担いだのはカカシ先生。その大きな背中におぶさりながら、こうするのはいつぶりだろうなぁなんて思ってる俺がいて。そういえば先生、姉ちゃんとは会えたんかな。姉ちゃん、大丈夫かな。



「…先生、ユウナの姉ちゃんとは…?」

「…あぁ、会えたよ。やっとな」

「…そっかそっかぁ。よかったってばよ」

「おまえのおかげだ、ナルト」

「…俺ってばなんもしてねぇってばよ」

「そんなことないさ」

「!」



ざっと広がった視界に入った光景に、俺は言葉を失った。



「おかえりナルト!」

「待ってたぞ!」

「ありがとうナルト!」



ずるりと先生の背中から降りながら、なんでこんなことになってんのかちっともわかんねぇ。



「みんな待ってたんだよ。英雄の帰還を、な」

「英雄……」

「私から事の次第を皆様にお伝えしておきました。それで皆さん待っていたんですよ」

「…っ」

「ナルト…」

「!姉ちゃんっ」



みんなの中にできた道の先にいた、アスマ先生に支えられたぼろぼろのユウナの姉ちゃんに駆け寄った。



「……このバカっ!!」

「いでェっ!!」



サクラちゃんよりすごい拳骨を食らってまたふらつく俺を、今度は姉ちゃんが優しく抱きしめてくれた。



「…ありがとう、ナルト」

「!」

「カカシを助けてくれて…」

「…いいや、俺ってば何もしてねぇってばよ」

「怪我は?どっか痛いとこない?」

「平気だぜ。俺ってば昔から九尾のおかげで傷の治り早ェからよ」

「…そっか。もう、無茶して」

「へへ」

「おいみんな!我らが英雄を胴上げだ!」

「…へ?え、ちょっ!」



さっと姉ちゃんが離れたと思えば、今度は空中にいてよ。
ぐるっと周りを見渡せば、俺を胴上げしてるチョウジやキバやみんなのそばで、微笑んでくれてるサクラちゃん、やさしい顔をしてるカカシ先生に支えられながらやっぱり優しい顔をしてるユウナの姉ちゃんに、きっ、と笑うアスマ先生とシカマル、なんでか涙を滲ませてるヒナタに、おいおい泣いてるイルカ先生がいる。


俺ってばずっと、こんな光景が見たかった。
みんなが俺を見てる、みんなが俺に“ありがとう”っつってる。

みんなが俺を、認めてくれてる。



…んーと、何が言いてぇのかっつーと、

俺ってばすっげー幸せだ!!





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