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□天使の住む街
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別に来たかったわけじゃない。
ただただ面倒だった。
でも自分たちの番だから
どうしても
地上に降りなければならない。
行きたくなかったのに
こんな風に…
地上に降りたくて仕方なくなるなんて
思わなかった。


ある日の朝7時
地上に降りるための扉の前に立つのは
三人の天使だった。
顔はそっくり。
でも纏う雰囲気、表情は
三者三様だった。
一人は少し可愛げな雰囲気。
そして
天界で連絡をとりあうための鏡を
手に持っていた。
一人はとてもとても明るい雰囲気。
なぜか瞳孔が開ききっている。
そして最後の一人は
天使なのに少し…かなり暗い雰囲気で
猫背気味だった。

今から丁度12時間後
必ずその時間に帰ってくるように。
そう告げられ
三人は地上に降り立った。
今回は地上の様子を見てくること。
それが目的だった。

「じゃあ僕は新しくできた
カフェのほうにいってくるね。」
「僕はあっち!」
「あっちって…アバウトだね十四松兄さん…」
「んーあっちが楽しそうだったから!
いいでしょ?トド松?」
「大丈夫だよ。十四松兄さん!
…一松兄さんはどっちにいく?」
「…あっち。」

一松は十四松がさした方向と逆を指さす。

「うん!
じゃあ方向はみんなバラバラだね。
じゃあ帰る時間の一時間前にここに集合ね?」
「わかったー」
「うん。」

二人はそれぞれの方向に飛んで行った。
そして残された一松も
すこしめんどくさそうに
自分が指した方向に飛びだした。
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