妄想部屋

□七夕☆パーティー
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真澄は暫く呆然とした後

ゆらり………

座っていたソファーから、フラフラと立ち上がった。

ゆっくりとした歩調で4、5メートル先にある笹飾りに近づくと、笹を一枚、プチリ、と千切り唇に挟む。

チラリ…。

真澄が三人の様子を伺った。

「「「何か始まった」」」

皆、関わるのが嫌なので、真澄を止める者はいない。

ゆらりゆらり…真澄は自分のデスクの上に腰を下ろすと、長い足を組み、スッと自分の足の上に肘を下ろし方杖をついた。

「…フッ」

真澄は、唇に挟んだ笹の葉を、長い美しい指で弄び始めた。

「この…俺が?君たちは…この俺が放屁をしたと…そういうのか…?」

一同頷く。

「君達は…馬鹿だ馬鹿だと思っていたが…」

(私も…含まれるのか…)

冴子は暗い気分になる。

「よく見たまえ…俺がだぞ?このグッドルッキングガイ、速水真澄が…屁?」

大きな溜息と共に空を仰ぐなり、手で顔を覆う真澄。マヤは、またケーキを食べ始めた。

「俺は、世の女性を虜にして止まぬ、気高き貴公子だぞ?そんな俺にあると思うのか⁉」

「何が?」

桜小路は恐れを知らない。

「アヌスだ」

真澄の主張は続く。

「俺に、アヌスは存在しない!
よって排便も放屁もあり得ない‼」

スタ…

デスクから降りた真澄が、またしても、ゆらゆらと部屋の中を徘徊すると、紫織が送って寄越した箱の上に長い片足を乗せ、アンニュイな視線を投げかけてくる。

「だろ?」

カタカタ…。

足元から伝わる振動に、真澄の身体が小刻みに揺れる。

紫☆織姫と送り状が貼ってある箱が振動を始め、真澄は思わず箱から足を下ろし退いた。

メリメリという音と共に開く大きな箱。

そしてその中から、織姫の衣装に身を包んだ女が、硫黄の香りと共にぬっと姿を表す。(注釈2)

「「紫織さん!」」

((退魔師‼))

「流石、わたくしの彦星様ですわ…!美しい殿方にアヌスなど必要ございませんことよ!」

箱から這い出し、応接セットに腰を落ち着けると、当然の顏で面子に加わる紫織。

「私…紫織様のお茶を用意して参ります」

(((逃げた!)))

「紫織さん…何故、お車でなく、配達で…」

一年に一度も会いたくない紫☆織姫は真澄にとって最も招かざる客だ。

「七夕サプライズですわ…。真澄様がなかなか箱を開けて下さらないから、私我慢出来なくて…」(注釈3)

ひとまず、真澄の小芝居という出し物は終了し、紫織のイリュージョンがマヤのパーティー気分を盛り上げた。

「すご〜い!七夕パーティーらしくなってきましたねっ!」

パチパチと手を叩き、興奮するマヤに反比例する様に、冴子と真澄のテンションは下がる。
もともと、パーティーのつもりは冴子も真澄も更々なかった…。

紫織にお茶を出す名目で部屋を辞した冴子だが、どうにも社長室に戻る気にはなれない。

(ええい!もういっそ、みんな呼び出しちゃいましょ!)


ーパリピin社長室!Ta☆na☆ba☆ta☆Nightー

マジックで紙に書きなぐると冴子は社長室のドアに貼り付けた。

投げやりな冴子の企画により、召喚された亜弓や黒沼、更には千草や源三…。彼らは織姫と彦星が逢瀬を終えるまで、飲めや歌えやの大宴会は続けるのであった。


ちゃんちゃん



注釈1
真澄は無言で桜小路の眉毛を何とかしろと訴える一方、桜小路は自分の容姿にウットリとしている状態。

注釈2
おならが臭くなってしまった原因は、野菜に含まれるある成分が原因です。それは「硫黄」という成分です。
「硫黄」は温泉地の臭いもしくは卵の腐ったような臭いの原因です。そのニオイ成分の硫黄は強い抗酸化成分でもあり、血液をサラサラにしてくれて血行を良くしてくれる効果を持っている無くてはならないミネラルです。

注釈3
わたくし、身体が(腸含む)弱いものですから…
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