□さよなら、1人目のゼロ
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スコッチからメールが来たのは初めてだった
いつも彼は電話をしてくる
それが僕だけだと気付いたのはいつだったか


後から来たのに僕よりも仲の良いバーボンでさえ、電話をすることは多くなくて

声が誰かに聞かれることを恐れてたのかもしれない
彼は、彼らはたまに違う組織の話をするようだったから
メールなら消去方法もあるだろうし


とにかく、僕にメールが来たことが異例の事態だった
スコッチの様子がおかしくなったのはここ数日で、僕は心配になって彼の携帯に盗聴器と発信器をつけていた

素人に近い僕が仕掛けたのに彼は気付かなかった

いや、今になって思うのはバーボン、降谷零がやったと思ってたのかもしれない

メールが来て、彼が死ぬつもりだって気付いた時、ジンからネズミを始末しろと指示された

彼らはまだ誰がネズミかわかってなかった
でも、スコッチのことを指していたんだ

その日は僕に任務はなくて、急いで発信器の位置を確認してバイクを走らせた

近くまで行くと他の構成員に気付かれるから
1q離れたところに駐車して


ビンゴ


あと少しで印が円の中心に来る、というところでバーボンに会った

彼は僕を見つけた途端、顔色が悪くなった

そうだろう

僕は組織の人間に見えているから
けど、今カベルネを動かしているのはミナトの方
カイであるのは外面だけ

だって、あたしは彼の最期を知らない
直接助けないなら介入にはならないのでは、と考えていた


「!カベルネ…こんなところでどうしたんです?」

『多分貴方と同じ理由
ネズミを排除するようにジンに言われた
バーボンが来たなら、僕はあのビルから狙撃する
確実に彼を捕らえて、バーボン』


まだ、彼の発信器は動いている
誰かに追われているとしても、間に合うかもしれない


『頼んだ』

スコッチを、本来の場所に戻してあげて

本当に言いたいことは、けれど言葉にしちゃいけない
何か言いたそうなバーボンを放って、発信器とは少し離れたビルに向かう


(お願い、これが介入にならないで
スコッチは助かる、それが正しい未来であって)


彼が誰かに追われているのは間違いなさそうだった
携帯を胸ポケットに入れる癖のある彼だからこそ、そこに仕掛けた

声が1番拾いやすいから
今は荒い息遣いが聞こえてくる

それに階段を上る音…


『屋上まで行く暇がない
どこか、外が見えるところ』


あたしがいるのは廃ビル
おかげでガラスのはまっていない窓もすぐに見つかった

あとは、追っ手が誰かによるけど


【ガン! キーーン】

何⁈
あ、盗聴器が壊れた?


『くそ、誰が追手なの
直前の音からして投げ飛ばされたの?』

急いでスコープを取り出して、発信機が示す方向を見る
予想した通り、屋上にスコッチはいた
追手は黒の長い髪にニット帽の、ライだった


『ライ、なら殺すことはない、よね
赤井秀一、潜入捜査官なんだから』

一応ライフルを用意したけど、使わなくて済む
そう、思ったのに


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