□事故とコードネーム
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次の日から訓練と任務がなくて、明美さんが病院に行く日は必ずついて行った

これじゃあまり意味はないかとも思ったけど、“僕”を探られたくないし
あたしも彼にはあまり会いたくなかった


そうやって避けてるうちに諸星大は退院した

そしてさらに数日後、明美さんが諸星大と恋人になったと教えられた


「それでね、今度志保も呼んで一緒に食事したいんだけど、ミナトもどう?」

『なんであたしまで行かなきゃならないんですか
志保ちゃんは早めに顔合わせておきたいのはわかりますけどね
いつか家族になるかもしれないし?』

「え!ちが、そう言う意味じゃなくて!」

『でも、明美さんもそう言うこと考えるでしょ?
彼だって妹と会うって言ったら、考えるんじゃないんですか?』

「ううん、多分それは、無理、かな」


そう言うと少し悲しそうに笑う
もしかして、気付いてる?
確か、途中で偽りの名前だって気付くんだよね?


『とりあえず、あたしがそこに行くわけにはいかないです
第一、カイを知ってる彼の前にあたしが出たら双子かと思われるし』

「うん、だから変装してもらいたいなぁって」

『却下』

「じゃあカイは?
私か志保の監視も兼ねるってことで」

『カイ、かぁ
というかなんでそんなに3人が嫌なんですか
あたしが行くのは変だし、カイは無愛想ですよ』

「え、えっと、そのー」


目が泳いでる
何か言いづらいこと?
まぁこれ以上追求する必要もないか


『分かりましたよ、カイを説得してみます』


仕方なく折れた
で、この会食なんだけど、無事に終わったあとの志保ちゃんが怖かった
明美さん、このために僕を呼んだね
志保ちゃんと護衛兼監視役の僕はそのまま組織に行くから同じ道になる
つまり延々と諸星大についての愚痴を聞かされた

簡単に要約すると

なぜ、あんな男の接近を許した


だそうです

なんだ、あたしは明美さんのお目付役じゃないぞ
どっちにしろ2人が付き合ってくれないと話は進まない
そうするとトキといつまでたっても連絡が取れないわけだから、あたしが介入するわけないんだけどね

…トキのことは忘れてないよ?


志保ちゃんが諸星大に気をつけてほしいと言い、時間があるときならと返した

とりあえずはそれで収めてくれるみたい

それからはまたいつも通りの日だった































2人の構成員がコードネームをもらう時、とうとう僕にもコードネームが与えられた

彼らのコードネームはライとバーボン


組織内では狙撃のライ、情報屋のバーボン
そして僕は殺さずのカベルネ
と呼ばれるようになる

カベルネは技術こそライと並ぶと言われることもあった
けど、中身はあたしなわけで、人を殺す、ということがどうしてもできずにいた

それをスコッチもベルもキャンティ達ですら責めなかったから、そんなあだ名がつくようになった




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