□だからどうしてこうなる
2ページ/4ページ


魔方陣に入って、次に出たのは昼の路地裏
後ろを振り返ると地面にも壁にも魔方陣はなく、行き止まり
少し歩いただけで大通りに出た

(トキ、今度は成功した?バグってない?)

何か住所のわかるものを探しながら勾玉に触れる
程なく、横を走り抜ける車のプレートでここが探偵の世界であることは確認できた

特殊な世界じゃないからあたしの服装は目立たない
だからトキから連絡なくても少しぐらいなら平気なんだけど


『なんで応答されないの
あんなに頭に響いてたのに』


一度ならず何度呼びかけても答えは返ってこない
またバグ、なのか

公園のベンチに1人座り考え込む

トキと連絡が取れなければこの先どう過ごせばいいかわからない
…どうやって生活させるつもりだったんだろう


『そっか、カバン!
何か手がかりになりそうなもの入ってないか
えーと…うわぁ!』


手が、吸い込まれた?
いや抜けたけど…

もう一度そろっと手をカバンの中に入れてみるが、今度は普通に底に手がついた

なんだったんだ

中にあるものをテーブルに並べていく


『いや、なんで小さいのにこんなにもの入ってるの?』


魔法世界のヒロインのバックみたいだ
もしくは4次元ポケット



分かったこと
その1
このバックは見た目に対して容量がおかしい

その2
此処での異物はものであるらしい
「いぶつ入れ」と書かれた袋があった
何故に平仮名なんだ

その3
通帳とキャッシュカードが私の名前で用意されている

その4
住所のメモがありました
部屋番号が書いてあるから住む場所だろう



つまり住所が分かれば住む場所ゲット!
てことでオーケー?

此処までお膳立てされてると怪しさ満載だけど、今はこれ以外頼る術がない

さて、こんなことやってる間にも時間は過ぎていくわけで
気が付けば公園は学校帰りの子供達が増えていた
どうやら平日だったらしい


『問題は住所をどうやって知るかだな。あとは銀行かコンビニ見つけてお金下ろす』

「あの、大丈夫ですか?」


頭に手を当て考え込んでいると女の子から声をかけられた
顔を上げて声の主を探す


『……え、ら、あぁうん大丈夫だよ。』


いつの間に近付いていたのか
隣にはランドセルを背負った女の子が立っていた

というかこの子


「おい、蘭ー?どうしたー?」


デスヨネー

この髪型で他の子だって言ったら逆にびっくりですよ

というか、いつまでこの子は此処にいるのかな
そんなに見つめても何も出ないぞ
じゃなくて、君のこと呼んでる彼氏の方に行きなさい
あんな事件ホイホイと早々に関わりなんて持ちたく


「蘭?この人どうかしたのか?」


そらみたことかぁぁぁ


「あ、新一。なんか具合悪そうだったから…」

『あたしは大丈夫だよ?心配してくれてありがとう』


深く関わりを持つ前に切らなければ
と思ったけど、あたしはバカだった

テーブルにカバンの中身広げたままなの忘れてましたネ

「もしかして、引っ越してきたばかりですか?」

わお、もう君推理するのかい
というか、こら
勝手に人のものを見るんじゃない

『人のものは勝手に見ない!と言いたいところだけど、この住所の場所わかるなら教えて欲しいんだよね。
君の言う通り、今日こっちに来たばかりで迷ったんだ』

「この住所なら此処からすぐですよ。案内しましょうか?」


このくらいの関わりなら平気かな
うん、というか交番とかは行きたくないからこの子たちに頼もう


『じゃあお願いしてもいいかな。あ、途中にコンビニがあったら寄りたいんだけど』

「分かりました!蘭、お前先帰ってろ。俺はこの人案内してくから」

「分かったよ、新一も遅くならないようにね」

「わーってるよ!」


少女は手を振りながら先に帰った
悪いことしちゃったかな


『ごめんね、彼女と帰るところだったのに』

「いえ!困ってる人を放ってはおけないので。」


そのまま少年に案内してもらい、途中のコンビニでお金を下ろし、ついでに飲み物を買って彼にあげる
銀行の暗証番号は昔と同じで、トキがどこまで知ってるのかちょっと怖かった


『はい、これ。ささやかだけど、お礼』

「あ、ありがとうございます
あ、此処だな、このメモのマンション」


おお、着いた
てか、なんか高そうなマンション


『ありがとう、えっと、新一くん、だっけ?』

「え、あー蘭のやつか。ええ、それでは」


新一くんはランドセルを背負い直すと、軽く会釈して道を戻っていった


『あれが未来の高校生探偵。
なんか印象が違うなぁ
もっとこう、威張ってる?感じがするかと思ったんだけど』


彼の背が小さくなってきたあたりで見送るのをやめ、エントランスに入った
入り口は鍵が必要だったけど、カバンを探ったらまたもや勝手に手に入った
もう何が起きてもトキが神様だから、で済ますしかなさそう

メモを見つつ、部屋を探す
マンションは24階建てで部屋は20階
中廊下になってるから今はわからないけど、景色は良いかも

『ここか
にしても、このマンションセキュリティ高いな
有名人でも住んでるのかな』

エレベーターを降りた所が小部屋になってて、そこから出るのには自室の鍵がないといけない
こんな構造のマンション初めてだ
おそらく表札がないのもセキュリティの1つなんだろう

部屋の鍵を開けて中に入る
中は3LDK
家具はある程度置いてあり、寝室にはあたしの勉強机もあった
文房具の類は全くないけど


『は、生前使ってたものを持ってきたのか
長居する前提、だな
これは、トキから?』


机の上にはまた、メモが置いてあった
そこには急いで書いたのか殴り書きされたような文字が並んでいた


[無事に辿り着いてくれてよかった
あまり大きいものは送れないから必要事項だけ書く
連絡が取れなくなったのはおそらく物語より前だからなんだ
その世界の実際の物語は2016年
それまでは連絡が取れないと思っておいて
君の口座のお金は好きに使ってね、定期的に増えるから
遺物はバックの中にある専用の袋に入れておいて
それから、くれぐれも禁忌を忘れ
いいね、絶対に忘れな]


メモはそこで破られてる
まあ適当な紙に書いて千切ったときに欠けたんだろ

それにしても2016年
リビングに確かテレビがあったから日付は確認できるだろう
新一と蘭を見るに少なくとも5年以上前になる


『…つまり、またバグったわけだ
はぁ、この知り合いがいない世界で数年間生きていけと』


まあなんとかなる
前回もいきなり知らない世界でもなんとかなったわけだし
今回は世界を知っている分楽だ

適当に過ごせばいい
そう考えてた


世の中、こういう考え方をした時は大抵あれが立ってしまうのだ


そう、フラグ

まさかここまで とはな


















まさかここまで(悪運が強い)とはな…●●
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ