□混乱
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スコッチがノックだったことはすぐに組織に広まった
そして、ノックだとばれた直後に死んだことも
これは、組織がわざと流した情報
他のノックたちに焦りを感じさせ炙りだすために
さらに、組織は他にネズミが入り込んでいないか確かめるよう、秘密裏に何人かに命令を出した
命令を受けたのはベルモット、ジン、あと僕の知らないネーム持ち3人

そして、カベルネ

本当はライにやらせるはずだった
彼がスコッチを殺したからだ
けど、それは保身のためではないか、という意見があり、ならばライともスコッチとも組んでいた不殺のカベルネに、と僕に白羽の矢が立った

これはベルモットが教えてくれた


私は、ノックの存在を知っている
だからこそ、ここで誰かが捕まれば、また、禁忌を犯すことになる
それだけは避けたい
けど、僕がいることで何かしらの障害は起きているはず


『まず、ジンとの任務がキーだった』

なぜか消えない記憶もあった
それは、ライに関すること
原作での動きは思い出せないのに、彼が明美さんと公園にいる場面と倉庫でジンを待っていた描写は覚えている

彼が組織を追われるのは原作よりも3年前
月はわからないけど、そろそろその時期になってもおかしくない
そして、あれだけの能力を持っていて、唐突に初めてジンと任務をする、というのもよく考えればおかしな話だ
ならば、ノックである疑いがかかっている今、任務がくる可能性が1番高い
バーボンはあの一件以来会っていない
彼は日本にいないらしい
ならば、僕が関わる必要はない

ノックを探るメンバーは週一で集まり、情報交換を行え、というのも指令の一つだった
ただ、そこにノックがいないとも限らない
メンバーが不自然な行動をすれば疑われ、真っ先に始末されることになっている


『僕の報告すべきことはない』

「だろうな、お前は諜報に向いてねぇ」

「あら、ジンよりは使えると思うわよ?
貴方は怪しいと思うとすぐ殺してしまうでしょう
カベルネはちゃんと吟味してから報告するわ」


「おい、カベルネ、明日例の倉庫でライと取引任務があったな
俺と代われ、この場での任務交換は可能だからな」

ジンはベルモットを無視し、僕に任務の変更を言ってきた
ここでは上から言われた任務もお互い交換できる
つまり、自分が疑っている構成員との任務を手に入れる機会、というわけだ

『…構わない、まだライを疑っていたのか
まぁ、僕は彼を調べていないから知ったことではないけど』

「は!相変わらず眉ひとつ動かさねぇのか
ライとスコッチはお前のお気に入りかと思ってたんだがなぁ?
変更はお前から言っておけ」

ジンはそのまま部屋を出て行き、それに続けて他の人も出て行った
残ったのは僕

『はは、そうでもしなきゃ、僕はここで生きていけないからな
ここにいるのは違う世界の人だ
これが、ただのトリップなら、楽しめたのにね』


言っても始まらないことだけど、原作の話が増えてきて、考えてた
それに、トキの言う遺物が分からない

『考えても分からないものは後回し
ライに連絡、か』

あれからライとは会ってないから、任務で久しぶりに会うのか、とか思ってたんだけど


『ん?ジンとの任務?あれ、これって…』

あたしは自分が何をジンに許可したか気付き、急いで持っていたパソコンを立ち上げた
しばらく使われていなかったライのアドレスを探し出し、任務の変更を告げるメールを打つ
メールの最後にはカベルネ、と入れた後にドアのマークを付けた
今まで僕が絵文字なんて使ったことがない
あの人なら、この意味に気付いてくれる可能性がある
気付かなければそれでいいけど


『たぶん間違ってない
そして、僕がすることはサポートだ
あの倉庫は逃げ場がないから取引場所に選ばれたんだ』

つまりノックだとバレれば赤井さんに逃げ道はほとんどない
ここで下手を打てば僕まで疑われるけど、まあそこはなんとかなると思う
それよりも彼が逃げられなかった場合、それは改正になる
組織から逃げる描写はなかったと思うけど、追いかけられないわけがない
スコッチは事実、追っ手がかかっていたんだ
その逃げるときに最善であるように、けど表に出ないようにすれば良い


『どのタイミングなら誰にも気付かれずに入れるんだ?
確か、あの倉庫で失敗するのはライじゃないはず』

思い出せ、これは変えてはいけない場面だ
ライは逃げて、組織から出なきゃいけない


『そういえば、倉庫でライが1人で立ってるカットはあった?
ってことはすぐには追ってがかからない?』

なら、近くに待機してライに連絡が取れる状況にあれば良いか
赤井さんには会いたくないけど、彼に死なれては困る
いろんなことを考えながらも、もともと取引相手が逃げないよう使うはずだったルートを弄り、赤井さんの逃走経路を作り上げる


『よし、逃走経路はこれで良いか
あとはあっちがどれくらい味方を連れてきてるか
あーライに通信機も渡さないと』

ということは、ライに、会わないといけない、のか……明美さんに渡してもらう?
でも、2人を会わせたくない
宮野姉妹を必要以上に危険に晒すことになるし


『ダメ元で連絡してみよう』

明美さんに連絡して、結果帰ってきた回答が明日の午前中会う、と
これは、ライのノックバレ確実だ
明美さんには今夜会いたい旨を伝えた


『ひと段落〜』

あたしは部屋にあるソファに倒れ込んだ
カベルネはこんな姿を晒したりはしないけど、自分の部屋よりもここの方が実は安全だ
調査に選ばれた6人しか入れないし、ボス直々の命令用だからカメラも盗聴器もない


『通信機は確か自宅に仕舞ったから取りに行かないと
はぁ、このまま行けば顔合わせなくて済むかな』

そのまま彼が本国へ戻ってくれることを祈るばかりだ
その先は今となってはもう思い出せないから、どうしようもない

ソファのスプリングを使って起き上がり、部屋を出た

一度自宅に寄って、しまわれていた通信機を取り出す
これも、スコッチがくれたものだった
すでに所有権は自分にあるから組織には出さなかったけど


『さてと、明美さんに会いに行くか
半年くらいあってない気がするし、お小言もらいそう…』

案の定、明美さんにはずいぶん長いお説教を食らった
要約すれば、心配していた、ってことだったけど
そのまま適当な話をして、夕食を食べて別れた
諸星大宛ての通信機を頼むことも忘れずに

本当は彼のことをどこまで知ってしまったのかとか聞きたかったけど、明日彼に会うんだ、って言ってる明美さんがすごく楽しそうだったから
これはあたしが口出しすることじゃないと思った

次の日明美さんから無事に渡した、との報告を受けて、僕は動き出した
























これが、一つ目の回収だと、後から知った





to be continued....



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