□“僕”ができる
3ページ/3ページ

『ところで、僕はどうやって此処から出れば良い?
この施設がどこにあるか分からないから、帰りようがない』


彼が、今日は終わりだと言って銃を片付け始める
銃の解体や掃除の仕方は教えてる暇がないから見て覚えろと言われた


「え、じゃあカイはどうやってここまで来たんだ?」

『気絶させられて、気づいたらここの一室に拘束されてた』


別に隠すことじゃない
この人自体は黒じゃないわけだし

まぁ案の定驚いてたけど

結局、あたしが住んでるところは覚えてるから、その近くまで彼の車で連れて行ってもらうことになった
家までお願いしなかったのは予防線
というか、昨日志保ちゃんにその辺を注意されたからなんだけど


『ここで良い』

「そうか
じゃあ明日、17時にまた今日と同じ場所で
それとこれ、カイの荷物だろ?返しておけと言われた」


車を降りる時に渡されたのはあたしの鞄

忘れてた

これの中に保険証とか入ってるのに
簡単に中を確認して、特になくなったものはなかった
相変わらず、考えただけで手の中にそれが入ってきたけど
僕はスコッチに一応礼を言って、車が出るのを確認してからマンションへ帰った




次の日から、本当にスコッチは僕に狙撃の仕方を教えた

自慢じゃないけど、体がものを覚えるのには自信がある
2カ月経つ頃には500ヤードは的の中心を百発百中
教えた本人もこれには驚いていた

2ヶ月の間にバイクの免許も取った

この2ヶ月で明美さんにも会い、連絡が取れないのは不自由だと、半ば強制的に携帯電話を買わされた
携帯は僕とあたしの2つ
あたしの方には明美さんと志保
それからバイト先の連絡先だけ
僕の方にはスコッチといつの間にか入っていたベルモットにキャンティにコルン、それからシェリー

何故コード持ちでない僕が幹部たちに絡まれてるのかは本当に分からない
こんな終始機嫌悪そうな少年の何が気に入ったんだ

キャンティとコルンは、スコッチがいない時に射撃場で会った
その日はちょうどライフルの方で練習してて、キャンティに腕の良さを褒められた
スコッチに教えてもらってると言ったら
アタイが教えてやるよ!
という感じになっていつの間にかコルンもいた
後日、彼ら3人が一度に集まった時はちょっと怖かった
いや、だからなんでそんなに僕に教えたがるんだよ
あれは2度と思い出したくない
ベルが来るのがあと少し遅かったらどうなってたのか


ベルモット
彼女を見たのはもちろんあのレストランが最初だったんだけど、ひったくり犯のおかげであたしに気付いてたらしい
組織に捕らえられたあたしの能力を買ってくれたのは彼女だった
何が気に入ったのか、施設で会ってから度々絡まれる
新一や蘭のように彼女を助けたわけでもないが、おかげで死なずに済んだから感謝はしてる
変装術も時間があるときに教えてくれるから、姉のように慕っている
ふざけてベル母さんと呼んだら、すごい笑顔を向けられた
あれはトラウマになる
そしてベルはおそらく唯一の、僕が女であることを知っている組織側の人間
つまり油断はできない
彼女とボスに関しての秘密
あれが思い出せればこっちも切り札持ってることになるけど、原作知識が最近ほとんど出てこない

終盤にかけての情報から思い出せなくなってる
ボス、ラムの正体
コナン、哀ちゃんのその後
身近なことだとスコッチの本名とその後どうなったのか
元々細かい部分まで覚えていたわけじゃないけど、この世界の軸に関することを忘れるほど浅い知識ではなかった
一度、パソコンに打ち出しておこうと思ったこともあったけど、誰かに見られた時言い逃れができないからやめた
この世界には人のパソコンを簡単にハッキングしたり覗いたりする人がいるから

まあ記憶に障害が出つつも、私生活に支障はなく過ごしている
そう、この日までは




















































『もしも【ミナト!どうしよう!人を轢いちゃったの!】
は?』
明美さんからの電話に出ると、彼女は泣きそうな声でそう叫んだ






to be continued ....

次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ