□何処ですか?
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トキに行ってくると告げ、魔法陣に飛び込んだ先に待っていたのは見たことのない街並み

以前の服装変換もあり、自分の体を確認する
半袖Tシャツにパーカーを羽織り、七分丈のズボンを履いてる
ちゃんと野球帽も被ってる

『よし、今回は大丈夫かな。』

魔法陣に飛び込む前に来ていた服そのままだ

ただし、胸がない
え、元々ないだろって?
いや、まぁ平均よりは小さいけどあるものはあった!
柔道やめてから圧迫するものなくなって少しは大きくなった、はずだったんだけど
あ、てことは柔道やってる間の体で、目線は変わらないとなると高校生か?


……そうだ、その物語で最適な時期に戻すとか言ってたっけ?
てことは、この世界の主人公は高校生なのか
でも前回は物語ですらなかったわけで
となると、高校生以上のキャラがほとんどの世界で良いのかな

『ていうか、マジでここどこですか。
なんか日本じゃないっぽいけど。
それに雨とか降ってるし、暗いし、路地っぽいし。
大丈夫、お化けは出ないお化けは出ない【ミナトー。聞こえる?無事着いたかな?】ひゃあ!』

頭の中に直接響くような声、これはトキ?
軽くホラーだよ、ビクッてしたよ
そして一体どこから

【足元に荷物があると思うんだ。
その中にブレスレットサイズの勾玉が入ってる。それを右腕に通して、左手で上から触れてくれる?】

トキの言葉通り、足元にはショルダーバッグが置いてあり、中を探ると確かにブレスレットが入ってた

【ミナトさーん?見つけたなら指示通りにして欲しいんだけど。
僕の声は君にしか聞こえないから構わないけど、左手で触ってくれるまできみの声聞こえないんだよ】

なるほど
あたしが何か話しても、聞かれたくなければ勾玉に触らなければ良いのか
バッグを斜めがけにしてから、勾玉を探し当て、指示通りにして話す


『これで、聞こえてる?』

【オーケーオーケー。感度良好。
あ、ミナトは頭の中で話してくれればこっちに聞こえるからね。】

( ところで、ここどこ?日本っぽいところが全くないんだけど。しかも夜だし )


トキと繋がって少し安心

なんの世界がわかれば、キャラに接触する前に違反物回収も可能かもしれない

いくつか外国風の話を思い浮かべるも、この町並みは当てはまらない
トキからの返答は予想しないものだった


【夜?僕が送ったのは昼間のはずなんだけど…もしかしてバグったかな。近くに人いる?】

はい?え、バグったりするの?


( バグって、それ大丈夫なの⁈見える範囲に人はいないけど! )


とりあえず、この暗い場所に居続けるのは精神的によろしくないと思い、大通りがありそうな方へ歩く

その間もトキとの通信は切らず、現状を話す


【うーん、今水晶宮でそこがどこか探してるけど…え、あ、分かったよ
世界は同じだけど、時間軸が狂ってたみたいだ】

後ろからクラクション鳴らされて、慌てて横に逸れる

いくら裏道でも真ん中歩くのはダメだったか
いや、だって怖かったから…

その車が通り過ぎた後、ふと振り向くと長髪の男が立っていた


【気をつけて、敵に気づかれたのかもしれない
それと、正しい時間に転送し直すよ。】


目の前にいる人物に思わず勾玉から手を離した

あたしは彼を知っている
唯一同じ時間を生きてみたいと、思った人物

ここの世界がどこかわかった

彼がまだ、長髪

これがこの世界の物語の1つなら、
いや、水晶があったなら、物語の1つなんだ

ということはロサンゼルス
目の前にいるのは、赤井秀一


「ん?なぜ人がいる。」

『え、あの、えと』


いきなり目つきの悪い人に声かけられたら誰だってテンパると思います
帽子深く被っておいてよかった
こんな所で顔を覚えられたら堪らない


「また日本人か。」

『え、はいそうですが、また?』

「いや、なんでもない
ところで、銀の長髪をもつ日系人を見なかったか?」


思わずジンを思い浮かべたけど、違う
彼が今追ってるのは確かベルモットの変装


【ミナト?あれ、通信弱くなったかな】


トキのこと忘れてた
でも、今ここで会ったことは、なんとなく伏せておきたい


『他に人、見てないです。あの、もういいですか。』

「ああ、すぐにここから去れ。」


後ろ手にブレスレットに触れる


(トキ、人がいるからちょっと待って)
『あ、はい。』


一応礼儀として会釈し、車と同じ方へ向かう
少し早歩きで
あまり待たせるとトキが気づくかもしれない


【どう?人いなさそう?】

(もう少し)

『うわっ!』


少し先に角が見え、そこを曲がろうとしたら思いっきり風が吹いてきた

その勢いで帽子が飛んでいき、それを取ろうと追ったその先には、まだ、赤井秀一が、いた
目が合ってしまった
これは、下手したら顔を覚えられたかもしれない

【大丈夫⁈魔法陣を転送する準備はできてるけど!】

帽子のことは諦め、足早にその場を去る
次の角を曲がり切る前にトキに連絡を入れる
万が一追いつかれでもしたら面倒


(大丈夫風が吹いただけだから、それより!5秒カウント!)

【え、分かった。いくよ、5秒、4、3、2、1!転送魔法陣移送開始!】


その声と同時に目の前に魔法陣が現れる
私はためらいもせずにそこに飛び込んだ

それにしても、なんで赤井秀一はあたしを見て驚いたんだろう
男の子だとでも思って女だと分かったとか?

あたしはそのまま転送されていった
今度こそ米花町へ





「今のは、まさかカベルネ、か?」


だから気付かなかったし知らなかった
彼があたしを見て驚いた本当の理由を
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