□さよなら、1人目のゼロ
3ページ/4ページ



scotch side



俺が潜入捜査官だとバレれば零も危なくなる
それにカイも何をされるか分からない

そう分かっていたはずなのにミスをした
2人に危害が及ぶ前に自分の痕跡を消さなければいけない
初めは公安に戻ってデスクになることも考えた
けど、それよりも追手の方が早かった


( 悪い降谷…奴らに俺が公安だとバレた…
逃げ場はもう、あの世しかないようだ
じゃあな、零 )


零にはメールを送った
そしてカイにもメールをした
あいつらはお互いに嫌っているのに似たところがある
零はなんだかんだでカベルネを気にしてるし、カベルネが本当の組織の人間でないことは教えてある
危なくなればそれとなく助けてくれるだろう



俺の追手はライだった
その時点で俺の死は決まったようなものだ

彼に勝る部分が俺にあるとは思わない

彼に追いつかれそうになりつつ、1つのビルに逃げ込み、屋上まで登った
ここが、俺の墓場になる

自決する為ライの拳銃を奪い、彼に銃を向ける
拳銃を向けられた者がするようにライも両手を挙げる

「俺に投げ飛ばされるふりをして、俺の拳銃を抜き取るとは
命乞いをするわけではないが
俺を撃つ前に話を聞く気はないか?」


話を聞いてる間に他の奴らが来れば、確実に俺は捕まる

その前に彼らに送ったメールと俺の情報が少なからず残ってしまっている携帯を
確実に壊さなくてはいけない


死ぬのが怖くないと言ったら嘘になるが

「け、拳銃は... お前を撃つ為に抜いたんじゃない...
こうするためだ!」

「無理だ」

「!?」

「リボルバーのシリンダーを掴まれたら、人間の力で引き金を引くのは不可能だよ
自殺は諦めろスコッチ
お前はここで死ぬべき男じゃない」

「何?」

「俺はFBIから潜入している赤井秀一
お前と同じ奴らに噛みつこうとしている犬だ
さぁ、分かったら拳銃を離して俺の話を聞け
お前一人逃すぐらい造作もないのだから」

「あ、あぁ」

潜入捜査官…
そうか、海外からもいるとは思っていたが

俺は引き金にかけた指から力を抜いて、ライに返そうとした



ああ、神とかいるなら、俺は相当嫌われてるのかもしれないな

ライの背後から階段を駆け上がる音が聞こえてきた

この状況で組織のやつが来ればライも殺されるかもしれない

彼が潜入捜査官ならいつか組織を潰してくれるだろう
残る彼らを助けてくれるだろう


「ライ、すまないが零を頼む
それから、ミナトのことも
彼らを助けてくれ」

ああ、助けてくれようとしたのにすまない
俺はライが後ろに気を取られている隙に銃を奪い返し……


次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ