風車

□一話 カラスの学校
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「あれ?安田?」

「あッ!一色さん!」

「何そのカッコ、シュミ?」


シュウが首を傾げると、安田泰男が青あざだらけの体をどんと広げて見せてきた。


「やめろよ汚ねェな、パンツ一丁の男の裸なんざ見ても嬉しかねェよ」


うっ、と顔を歪ませてしっしと安田を払うも、安田は聞いてくださいよ、今朝酷い男に会って……!と語り出す。


何でも阿久津に絡まれているところを助けてやると言ったものの直ぐにやられたらしい。

で、安田は服取り上げられて女子高の前をこの格好で走ってきたそうだ。


「ほォそりゃあ散々な目に遭ったな……」


ヒヒヒと笑いながら安田の話を聞くシュウは阿久津、と言われた男の顔を思い出せないでいた。


「でー、一色さん、今体操着持ってたりしませんかね……?」


「体操着?」


「はい、忘れちゃいまして……」



忘れたと言うか、剥ぎ取られたというのか、見た限り、安田の所持品は、少し汚れたパンツのみだった。



「あー……教室にあると思うが……取り敢えず職員室まで届けてやるからよ、待ってろ」

「本当ですか!?あ、あ、ありがとうございます!」

「いやいや、良いんだって。これからは気を付けろよ」



そう言って安田の肩を叩こうとして、あざがあるのを見てやめた。

薄いカバンを握り直して、二年の教室に向かった。
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