*文豪ストレイドッグス*
□人生万事塞翁が虎
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――と或る河川敷
『へえ、じゃあ敦くんは施設の出なんだー』
「そうなんです………お陰で餓死寸前でしたよ………」
初めまして、僕の名は中島敦です。
故あって餓死寸前の所を偶々通りかかった小泉八雲さんが救ってくれました。
八雲さんは財布を奪おうとしたにもかかわらず、事情を話したところで何処から出したか解らないけど、キャラメルをくれました。返り討ちにあったけど。
『美味しいでしょ!!』
「甘い物なんて何年ぶりでしょう……とても美味しいです!」
素直か感想を口にすると彼女はめを輝かせキャラメルについて語り出した。
『えへへー!ありがとっ!』
『師匠が昔くれて好きになったんだ!』
敦はふと、疑問に思ったことを聞いてみた。
「師匠?なんの師匠ですか?」
『え!?えーと…………』
なにやら敦の質問に八雲は焦ったように考え込んでしまい、
話しかけられるような雰囲気出なくなってしまった。
仕方なく川の方を眺めていたら、なにやら人のようなものが流されてきた。
「え!?ちょっ!八雲さんどうしましょう!!」
『へ?何が?』
「ひ、人が流されています!!」
慌てて八雲に状況を伝えるが本人は
『……人が?……なんか嫌な予感するから放っておいていいよ。』
と、川の方を見ることもせずにそれだけ云うとまた考え込んでしまった。
頼れる人もいなくなり敦は自分なりに一生懸命考え始めた
ど、どうしよう。八雲さんはああ云ったけど矢っ張り助けた方がいいよね………。でも、
心の中で葛藤しながらもう一度川の方を見を見ると今度は鳥につつかれていた。
ああもう!
「ええい!」
敦は覚悟を決めたように川へ飛び込んでいった。
一方、敦が飛び込んでいった後、土手に残された八雲はどこか冷めた目で川の方を見ながら呟いた。
『ふーん……助けに行くんだ。其の性格が吉と出るか凶と出るか。……まあ、此方に面倒事が来なければいいんだけど。』
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