*文豪ストレイドッグス*
□序章
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―――ポートマフィア。
今や裏社会で知らぬ者はいないほど恐れられている、横浜を縄張りとした凶悪なマフィア。
数十を超える傘下の団体を抱え、保護した企業や商店からの上納金、買い付けた密輸商品での非合法商売、麻薬売買や闇カジノなどを財源に街を闇から取り仕切っている。
政界の一部にも触手を伸ばしており、軍系も迂闊に手を出せない為、半ば遣りたい放題になっている。其の為、彼らに逆らって生存している者は居ないという。
武装探偵社同様幹部や有能構成員の人間は゛異能゛を宿す゛能力者゛が多い。
芥川龍之介は能力者の中でも危険視されている。
しかし、マフィアの中には芥川をも越える程に危険視されている人物が居る。
――曰く、大胆不敵で自由主義
――曰く、戦闘狂
――曰く、未成年で可憐な少女
――曰く、誰よりも冷徹で冷酷で残酷
――曰く、何事にも囚われず何かに囚われている
――曰く、………
そんな曰く付きの噂は裏社会全体に流れる程大きく増えていった。
噂の内容は人によって違いどれが本物か見分けがつかなくなっていった。
にもかかわらず外見だけは皆一致していた。
黒社会の暗部のさらに影のような場所には似合わない綺麗な白く長い髪に海のように鮮やかで澄んだ青き瞳。
゛彼女゛の噂や姿を出すだけで逃げていく奴も少なからず居た。
要素はわかっているのに゛彼女゛か余りにも裏社会の人間と見えず、気づいた時にはもう遅いということが殆どだった。
そうして、人々は゛彼女゛に対し敬意と畏怖の念を抱き゛白き悪魔゛と呼ぶようになった。
――誰も゛彼女゛の心の中を知ることがないまま――
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