夢小説&夢ネタ
□異世界生活なんて僕は嫌です。【Reゼロ】
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暗闇の中、兄さんの声と息切れが僕の頭に響く。
「やばい これは、やばい」
かすかに聞こえるもう一つの声。
「スバル、凛 どうかしたの?」
この声は…
______…
夜のコンビニで立ち読みをしている少年がそこにはいた。
「あー、なるほど」
「兄さん?」
そして、その横には似た雰囲気を持っている少年。
彼らの名は菜月昴とその弟凛だ。
______…
「駄目だ、逃げろ 早くっ」
兄さんが彼女に呼びかける。
僕はもう、声すら出ない。
______…
凛の問う声に昴は振り返る。
「ん? 凛、塾帰り?」
「うん」
「何か買いに来たのか?」
「文房具、買いに来たんだ。兄さんは…夜食でも買いに来たの?」
「ああ、まぁな」
昴は手に持っていた雑誌【少年アベックス】を棚に戻す。
二人で食品コーナーに足を運ぶ。
この兄弟は正反対の性格なのだが何故か仲は良い。
昴は部屋で学校にも行かずゲームをし、夜食を買うためにコンビニに来た。
凛は学校後、塾に行き無くなった文房具を買い足しにコンビニに来た。
不真面目な兄と真面目な弟である。
しかし、共通している部分も勿論ある。
______…
「っ」
兄さんの横に何かが倒れた音がした。
______…
スバルはカップ麺を眺め手に取る。
そして呟く。
「やっぱ、納豆は無ぇな」
「うん。僕も味噌納豆はちょっと…」
「だよなぁ」
味噌納豆味のカップ麺を棚に戻し、その横にあったとんこつ味を手に取る。
そして、いつも買っているのかコーンポタージュのお菓子を手元も見ずに取りレジに行く。
______…
「待っていろ」
兄さんに手が、横に倒れた彼女の手に伸びる。
出来るのなら僕もそうしたいけど、手に感覚が無い。
______…
「363円でーす」
「お、ギザ十」
「…意味はないけど珍しいから使いたくないんだね」
「……」
図星なのか凛の問いかけには何も喋らない昴。
買い終わった二人はコンビ二独特のメロディを聞きながら外に出る。
______…
「俺が…」
兄さんが芯のこもった声で呟く。
死にそうなのにどうして僕の兄はこうも強いのか…。
僕には理解できないや。
「必ず…」
けど、もし次があるなら
「お前を救ってみせる」
僕も、兄さんみたいに強く…なり、たいな……
______…
「兄さん?どうかした?」
「まぁ、一日部屋に閉じこもってゲームやってりゃ、目も疲れるわな」
「何か、あったの?」
凛は心配そうに昴の顔を覗き込む。
「何でもねぇ…」
「…っ?」
「え…」
スバルが目をこすっているうちに。
凛が瞬きをした一瞬に。
二人の周りが全て変化した。
風景も人も時代も何もかもが。
時間を知らせるためか鐘の音が鳴り響く。