長い旅(トリコ・ココ)

□昔の話
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「・・・ん・・・っ」

決して良いとはいえない目覚めに名無しさんは顔を顰める
目を開けるといつもの景色ではなく、見慣れない天井があった

「・・・えっ!?ここどこ!?」

バッと身体を起こすと不意に聞き慣れた声が名無しさんを呼んだ

ココ「あまり動かない方がいいよ、まだ完治はしていないからね」

「コ、ココさん!?あの、私・・・っ!」

混乱のあまり寝ていたベッドから降りようとしたが、それを阻むように名無しさんを頭痛が襲う

ココ「あぁほら、そのまま横になってて
昨日のことならちゃんと話すから」

「す、すみません・・・ん?昨日?」

ココ「うん、名無しさんちゃん、一日中寝ていたからね

あ、ちなみにここはボクの家だよ」

「ここがココさんの家・・・
あ、すみません、迷惑をかけてしまって・・・」

申し訳ない気持ちでいっぱいの名無しさんに、ココは何とも思っていないという風に笑顔を向けた

ココ「いいよ、むしろあのまま放ってなんておけないしね

昨日のことなんだけど、君が倒れていたところをボクが見つけてここまで運んだんだ
これはボクが勝手にやったことだから気にしないで、ね?」

「ココさん・・・」

ココの優しさが嬉しかった名無しさんはココに釣られて笑う
ココはいつもの笑顔に戻った名無しさんを見て安心した

ココ「それで、昨日のことについてボクも聞きたいんだけどいいかな?」

「はい、そんな大したことじゃないんですけど・・・」

そう言うと名無しさんは昨日何故あんなことになっていたか、経緯と共に話し始めた



ココ「つまり、通りすがりの男性3人に話しかけられたと思ったら、路地裏に連れ込まれて暴行を受けた・・・ってこと?」

ココは名無しさんが話した内容を簡単にまとめて確認した

「はい、そういうことです」

ココ「そんなことが・・・他に何かされてない?
その、君は女性だから・・・」

恐らくココは強姦紛いのことはされていないか、と聞きたいのだろう
名無しさんはこの質問の意図がよくわからなかったが、特に何もされなかったので、はい、と頷いた

ココ「そっか、よかった・・・
それにしてもそいつ等の目的は何だったんだろう、標的が君だけなのかそうじゃないのかもわからないし」

今回の件について、自分について真剣に考えてくれるココを見て、名無しさんは疑問に思った

「・・・何でココさんはそんなに心配してくれるんですか?」

ココ「?こんな目にあっている人を心配せずにはいられないからね」

さも当然のことのように話すココを見て、

(あぁ・・・本当にこの人は優しい人なんだ)

と改めて思った
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