短い旅(短編)

□長男だから
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「どーもチビ太」

のれんをくぐってきたのは、子供の頃からの付き合いの名無しさんだった

チビ太「おう!いらっしゃい

おい、右側寄れよ

おそ松」

そこには幼馴染みの松野おそ松が座って酒を飲んでいた

かなり飲んでいる様子で完璧に出来上がっていた

「お前酔いすぎ」

おそ「ん?・・・名無しさんか・・・」

・・・何か元気ねぇな

おそ松が作った席に座る

「・・・何かあったのか

あ、大根二つとこんにゃくとはんぺん二つとウィンナー二本ときんちゃく餅よろしく」

常連並みの注文をする名無しさんを見て驚くおそ松

おそ「え、多くね?

・・・今機嫌良い?」

「ん〜・・・中の上」

本当は上司にセクハラされてイラついてたけど

あのハゲいつかぶちのめす

そう考えているといきなり目の前が真っ赤になった

おそ松のパーカーの色だった

同時に少し高い体温を感じた名無しさんはすぐに理解した

おそ松はたまに名無しさんの機嫌が良い時にこうやって甘えてくる

機嫌を聞く時はいつも嫌なことがあったり悩んでる時だ

「どうかしたのか?」

おそ「それが・・・」

おそ松が一旦離れ名無しさん一通り話を聞いた

「・・・自業自得じゃん!」

第一声がこれだった

おそ「何で!?」

心底言葉の意味がわからないとでも言うように驚くおそ松

「そりゃお前が悪いだろ!

特にチョロ松のは酷い

お前だって好きな人と過ごしてる時に邪魔されたくないだろ?」

おそ「う・・・」

少し間がありながらも頷いた

まあおそ松の場合、邪魔とか言わなさそうだけどな

そんな寂しそうな顔するなよ・・・

「はぁ、構ってほしかったんだろ?

・・・お前は長男だからな

しょうがないよな」

長男だから甘えられる人がいないんだろう

おそ「名無しさんが構ってよ」

20代とは思えないセリフが20代の男性から放たれる

「俺か?言ってなかったっけ

俺結構暇な時多いんだぞ」

さらっと伝える名無しさん

おそ「え!?マジで!?

じゃあ明日遊べる!?」

「おう、ちょうど空いてるぜ」

おそ「やったぁー!

名無しさん大好き!」

おもちゃを買ってもらった子供のようにはしゃぐおそ松からすごい言葉が出てきた

「・・・は!?な、何言ってんだお前!」

不意をつかれた名無しさんの顔は赤くなっていた

おそ「あれ〜?もしかして照れてる?

言われ慣れてない感じかな〜?」

「言われるわけないだろ!」

こういうところはクズだな!

・・・だけど、おそ松らしい



おそ(やべぇ勢いで好きって言ってしまった

なんか友情のほうでとられてるが・・・

いつかちゃんと言ってやるぜ

「愛してる」って)

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