長い旅(テイルズ)

□ナパージュ村
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〜廊下〜

朝、目が覚めて身支度をし船長のチャットに挨拶するため機関室に寄ろうとした

すると話し声がドア越しで聞こえたので、窓から様子を伺った

中にいるのはジェイド、ガイ、ティアだった





〜機関室〜

ジェイド「ガイ、それからティア

あなた達にはこれからナパージュへ向かってもらいます」

珍しくジェイドは軍人の顔になって部下に指示していた

ティア「ラルヴァというエネルギーについての調査ですか?」

ジェイド「はい、幸いここから近いですしね」

ガイ「まあ、ラルヴァに詳しい学者もいるだろうからな

接触してみるか」

了承した二人に満足気に浅く頷くと、ドアのほうを向いて言った

ジェイド「・・・ということですので二人はしばらく空けますよ、名無しさん」

「!」

どうやらジェイドは名無しさんの気配に気付いていたようだ

名無しさんは申し訳なさそうに機関室に入る

ティア「盗み聞きなんて、人が悪いわよ」

「す、すみません・・・

重要な話をしているかと思い入りにくくて・・・」

ガイ「まあまあ、名無しさんだって悪気があったわけじゃないんだ

そうキツく言ってやるなって」

ガイに言われたティアは困った様子で言う

ティア「キツく言ったつもりはないのだけど・・・ごめんなさい」

「い、いえ!私が悪いんですから気にしないでください」

ジェイド「まあ、確信犯かどうかは置いておいて

二人はそろそろ向かってください」

促された二人はそれぞれ返事をしてバンエルティア号を出ていった

ジェイド「そういえば、聞きましたよ」

「何をですか?」

ジェイド「貴女が記憶喪失だということを、です」

「っ!」

しばらく忘れかけていた事を告げられ、俯いてしまう

また記憶喪失になってしまうのではないか

皆を、ギルドのメンバーのことも目の前にいる仲間のことも忘れてしまうのではないか

こんな事を考えていた頃抱いていた 不安が蘇る

ジェイド「・・・失礼、あまり触れてはいけない事でしたね」

失言でした、と眼鏡を押し上げた

だがその後

ジェイド「ですが、そんなに気にしないことです

記憶がなくなってしまったのなら作ればいい、幸いここがありますし」

名無しさんは驚き顔を上げる

「・・・励まそうとしてくれてますか?」

ジェイド「さあ、貴女がそう思うのなら、そうなのでしょう

では私はお暇しますよ」

機関室を去るジェイドの歩く速さが、いつより速くなっている気がした






〜ホール〜

その後、しばらくしてガイとティアが帰還した

ジェイド「おや、お早いお帰りですね」

ティア「途中でナパージュの学者に会い、詳しく話が聞けると思って、連れてきました」

ガイ「おい、こっちだぞ」

ガイがドアのほうに呼びかけた

するとオレンジの服を着た女性を先頭にして茶髪の少年、金髪の少女、赤い髪の青年が入ってきた

リフィル「・・・素晴らしい」

女性が呟く

ジェイド「はい・・・?」

リフィル「するぞするぞ、この船から遺跡の匂いが!

伝説にうたわれるバンエルティア号が実在するのであれば、きっとこのような・・・」

名無しさん達の存在に気付いてないかのように中を見渡している

ジェイド「その、まさかですよ

驚きましたね、この船についての知識をお持ちとは」

ようやく落ち着いたのか、ジェイドの言葉に反応した

リフィル「素晴らしい!とうに失われ、文献の中でのみ見るものと思っていたが、こんな所で出会えるとは」

女性の言葉をずっと聞いていたキールが口を開いた

キール「・・・この前言ってた、船が空を飛ぶって話か?

おとぎ話を間に受けるなんて、馬鹿馬鹿しい」

ジェイド「その意見はももっともですが、古代の文献について知らなかったご自分を少々省みる必要があるのではありませんか」

キール「・・・・・・」

ジェイドに論されてしまい、何も言い返せなくなってしまったキール

ジェイド「まあ、とりあえず話を聞きましょう

ナパージュの皆さん、ゲストルームへお通しします」

貴女も一緒に行きましょうか、とジェイドに誘われたので名無しさんも着いて行った





〜ゲストルーム〜

女性以外はそれぞれ他の場所へ行き、ジェイドと名無しさんが話を聞くことにした

リフィル「私は、リフィル・セイジ

ナパージュ村で学者をやっていたの

ラルヴァについて、お話できる事は実はあまり多くないわ

というのも、ラルヴァはナパージュで開発されたものではなく、ある時突然村に導入されたものなの

ラルヴァの生成方法や、その性質について詳しく分析もされないままに使用され始めたの」

「一体誰が・・・」

軽く考えていると、ジェイドが違った疑問を投げかける

ジェイド「そこまで急いでラルヴァに飛びつく必要があったんですか?」

リフィル「元々マナの恵みが少ない村だったの

強力なエネルギーであるラルヴァはすぐに村民に歓迎されたわ

村はラルヴァによって豊かになった

しかし、未だ得体の知れないモノである事には変わりはないわ」

ジェイド「確かに、いかに強力なエネルギーだとしても安全性や供給性の確認を怠るわけにはいかないでしょう」

リフィル「その通りよ」

「それらの確認はされたんですか?」

リフィルはにがい表情で首を横に振る

リフィル「私はラルヴァの安全性を確認してから使用する様に提案し続けたわ

でも、村民は簡単にラルヴァを受け入れすでに依存しきってしまった

私の話にまったく耳を貸さずにね

挙句の果てには、ラルヴァの研究に邪魔が入る始末よ」

それを聞いてジェイドはリフィルにある提案をした

ジェイド「では、こちらでラルヴァについての研究を進めてはいかがでしょう?

もちろん、必要な資材や資金、人材をこちらで提供するように掛け合ってみますが」

「いいですね、ここなら邪魔も入りませんし」

それを聞くと嬉しそうにリフィルはお願いした

リフィル「それなら、ここで働かせてもらえない?

私も、私の教え子達も元々はギルドに所属していたの」

ジェイド「それは、船長が喜ぶでしょう

では、今後ともよろしくお願いします」

リフィル「えぇ、貴女もよろしくね」

「は、はい!よろしくお願いします」

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