長い旅(テイルズ)

□握手!
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名無しさんはジェイドに足を治療してもらった後、グランマニエの人達に挨拶するためゲストルーム3へ行っていた

赤髪の青年がルーク、金髪の青年がガイ、女性がティアというらしい

一通り挨拶が済んだところで、ガイとルークが話しかけてきた

ガイ「さっきはすまなかったな、改めて謝罪と礼をさせてくれ

剣を向けて悪かった

そして、ルークを助けてくれてありがとう」

「気にしないでください、私の不注意ですので」

その時ジェイドの言葉がよぎったが、今は心の奥に閉まって考えないことにした

ルーク「俺からも言わせてくれ

感謝してる、ありがとう」

王族と聞いていたのでもっと堅苦しいのかと思っていたが、案外そうでもなくて安心した

ガイ「あのな、ルーク

お前、仮にも王族だろ?

公の場じゃないにしても、その口調はないんじゃないか」

軽い口調に今後の不安を感じたのか、ガイが指摘した

ルーク「・・・あ、ああ

えーっと・・・さっきは迷惑をかけて・・・その、すみませんでした、ありがとう

祖国のグランマニエの名に掛けて、貴公の活躍に感謝の意を示させてもらいたく存じます」

まだ慣れていないのか、間があったりと不安定だった

「こ、こちらこそ、貴殿と従者殿にご迷惑をおかけして、申し訳ありませんでした・・・?」

こちらも王族に対しての態度をとろうと思ったが、見事にボロボロだった

ガイ「はははっ!君の方がまだ上手だよ

じゃあ、改めて名無しさんに自己紹介だ

・・・と、従者の俺がするのはまずいな

ルーク、お前から頼む」

ボロボロだったのをフォローした後、改めて自己紹介するようにルークに促す

ルーク「あ、ああ・・・

俺は・・・いや、私はルーク・フォン・ファブレといいます

えっと、グランマニエの公爵家のものです

こっちは、俺・・・じゃない、私の従者、ガイ・セシル

えーと、よろしく・・・お見知りおき下さい・・・?」

ガイ「おお〜、よく言えた

偉い偉い」

ルーク「バ、バカにすんなよな!」

少し照れながら怒鳴るルーク

二人のやりとりを見ていたら、つい笑みが浮かんでしまった

「ふふっ、頑張ってくださいルークさん」

ガイ「やっと笑ってくれたな」

ルークに言う名無しさんを見てガイは言った

ルーク「うん、名無しさんは笑ってた方がいいよ」

「そうでしょうか・・・」

前にも同じようなことを言われたのを思い出した

ルーク「けど・・・駄目だな

ああいう口調、全然言い慣れねぇや

なあ、名無しさん

悪いけど普通に喋らせてもらうけど・・・いいか?」

丁寧な口調に疲れたのか諦めて名無しさんに問う

「はい、私もそっちのほうが有難いです」

ルーク「さんきゅ

ま、そんなワケでよろしく頼むよ」

ガイ「名無しさん

ルークの事は、俺からもよろしく頼む

世間知らずで、貴族の自覚がまるでないヤツだから、その点容赦してやってくれよ」

「はい!」

ルーク「よけーなお世話だよ!名無しさんも承諾するな!」

ルークは突っ込み終わると何かを思い出し言った

ルーク「あ、そうだ!ジェイドから聞いてると思うけど、一応俺からも今の状況を説明しとくよ」

「あ・・・お願いします」

治療の後まだジェイドに会っていなかったのでありがたかった

ルーク「今、俺の国ではマナに替わる、新しいエネルギー開発が行われてるんだ

で、こういう事業は一国だけで頑張ってもなかなか上手くいかないらしくてさ

周りの国にも手伝ってもらおうとしているところなんだ」

ガイ「だから、今近隣諸国にマナの枯渇問題と代替エネルギーの開発の重要性を理解してもらう為、遊説して周ってるのさ」

ルーク達の目的がわかり、なるほどと呟く

ルーク「そういうわけで俺は『親善大使』として各国を訪問中なんだが・・・

今回こんな風にテロの対象になっちまって・・・」

ガイ「ああ、こんな強硬手段に出るなんて、思いもしなかったぜ

ナディのヤツら、焦ってる証拠だな」

ルーク「とにかく、しばらくここで大人しくしておいた方がいいのかな・・・」

いろいろと考え始めた二人に名無しさんは言った

「ここなら、ギルドの皆さんがいますし、安全ですので安心してください」

ガイ「ああ、そうしよう

世話になるよ、名無しさん」

ルーク「よろしくな、名無しさん」

「こちらこそよろしくお願いします」

ルークが握手を求めてきたのでそれに応じる

流れでガイにも同じことをしようとしたが

ガイ「おっと!!!

・・・あ、いや、気にしないでくれ」

「・・・?」

急に叫んだかと思えばすごい速さで部屋の隅に下がっていった

ルーク「ああ、言い忘れてた

ガイは女の人が嫌いなんだよな」

「そ、そうだったんですか・・・

すみません・・・」

理由があったとはいえ急に拒絶されたショックで名無しさんは少し落ち込んでしまった

ガイ「嫌いじゃない!

ただ、近くにいられるのが苦手なだけなんだ!」

そうだと案を思いついた名無しさんはそれを提案してみる

「私を女だと思わなければいいのでは?」

ルーク「前にティアが言ってたけど、結局ダメらしい」

ガイ「すまん、名無しさん

気を悪くしてなきゃいいんだが・・・」

申し訳なさそうに言うガイを見て可哀想に思えてきた名無しさん

「大丈夫ですよ、気にしていません

そういう理由なら仕方がありませんし」

ガイ「それは良かった

キミに嫌われたくはないからな」

「えっ・・・あの・・・」

きっと彼はお世辞ではなく本心で言っているのだろう

ガイの天然発言に顔が赤くなっていくのがわかる

ガイ「どうかしたかい?」

「・・・いえ、何でもありません」

顔を合わせないように背けて言う

ルーク「・・・これで女嫌いなんだから、世の中わかんないよなぁ」

「本当ですね・・・」

まだ顔の熱が冷めないうちに、ここのドアが開いた

ジェイド「全員いますか?

・・・おや、あなたもいましたか」

部屋に来たのはジェイドだった

「あ、お邪魔でしたか?」

ジェイド「いえ、大丈夫ですよ

それより顔が赤いですが、何かありました?」

今一番触れられたくないことにさらっと触れられたので慌てて言う

「あ、赤くないですよ!

いきなり何を言ってるんですか!」

ルーク「・・・ガイが」

ジェイド「ああ・・・そういうことでしたか

初々しいですねぇ名無しさん?」

ガイと聞いただけで納得するところも驚きだが、その後の発言はよく理解ができなかった

ティア「ところで大佐、何か用でも?」

軌道修正をしたティアに思い出したように答えるジェイド

ジェイド「えぇ、今後の事について相談がありまして」

ああ、そうだと名無しさんを見る

ジェイド「イリアという方にあなたを見かけたら部屋に来い、と伝えて欲しいと頼まれました」

「イリアさんが・・・?

わかりました、ありがとうございます

では失礼します」

何の用だろうと考えながら部屋を出た

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