長い旅(テイルズ)

□恋愛小説とラルヴァと新メンバー
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〜ホール〜

リフィル達がメンバーに入ってから数日

名無しさんは暇つぶしにホールに向かっていた

すると小さいシルエットが見え、それは不規則に肩を揺らしていた

そのシルエットの正体は、本を読んでいるパニールの後ろ姿だった

「あの、どうかしたんですか?」

パニール「あら〜、名無しさんさん

ううっ、失礼

今、小説を読んでいたところなんですの」

「どんな小説なんですか?」

あまり物語の本を読まない名無しさんは興味を持ち聞いた

パニール「恋愛モノの小説です

もうね、悲恋の物語なんですよ

今読んでるところがね、愛する二人が引き裂かれて・・・もう!」

「恋愛小説ですか、なるほど・・・」

考え込む名無しさんをよそに、パニールはハッとなり言った

パニール「あら、あらあら

すみませんねぇ・・・何か熱くなっちゃって

年を取ると涙もろくなって嫌だわ〜

カノンノが小さい頃はよく本を読んであげたんですよ〜

で、いろいろ本を探すうちに私も恋愛小説という奴にはまっちゃったりなんかして、も〜」

「小さい頃?」

疑問に思った名無しさんは首を少し傾げた

パニール「あ、まぁ・・・

あの子が小さい頃というのは・・・ですね

その、私、カノンノの母親なんです」

「母親、ですか!?」

パニール「いえ、その何というか母親代わりなんですね

その、色々事情がありまして・・・」

代わりと聞いてホッとした名無しさんはそのまま話を聞いていた

パニール「ええっと・・・この話は誰にも言わないでくださいね、お願いします

あの子と仲良くなさって下さいね

カノンノは、私にとって娘のようなものですから」

「はい、もちろん!

あ、あの、恋愛小説を一冊借りたいんですが・・・」

名無しさんは俯きながら遠慮がちに聞いた

パニール「あら、あらあらぁ!

興味を持ってくださったの!

もちろんいいですよ、まずは短いモノにしてみましょうか」

「あ、ありがとうございます!」

お礼を言いながら、なかなか見せない笑顔を見せた

パニール(可愛いところも、あるじゃありませんか)

パニールは心の中で笑った





翌日になり、ホールが騒がしいと思った名無しさんは様子を見に行った

そこにはジェイドとリフィル、それに知らない人達がいた

ジェイド「おや、名無しさんでしたか」

「この人たちは・・・?」

ジェイド「ラルヴァについて調査する為に、リフィルより先行してナパージュを出たお仲間らしいですよ」

「なるほど」

ジーニアス「姉さん!」

知らない人達の1人である男の子がそう呼びながらリフィルのほうへ走っていった

リフィル「元気そうで安心したわ、ジーニアス

調査の方はどうだった?」

ジーニアス「うん、大丈夫さ」

リフィル「そう、あなた達もここで働く事になるから挨拶をして周ってきたら?」

ジーニアス「そうだね、さっきロイドに聞いたよ

もう、ナパージュには戻れないんだよんね」

ジェイド「そちらの調査の件、詳しく聞きましょう」

ジェイドはここだと思ったのか2人の会話に入った

ジーニアス「誰、この人?船長さん?」

ジェイド「慧眼ですね

ですが、私が船長気取りをすると本当の船長が悲しむでしょう」

「そう思ってないですよね」

ジェイド「ははは、気のせいですよ〜

細かい自己紹介は後回しにして、まずお話をお聞かせください」

この問いにはもう1人の男性が答えた

クラトス「大陸へ渡って、幾つかの情報を掴んできた

ラルヴァを開発したのは、『ジャニス・カーン』という男らし」

「ジャニス・カーン?」

ジェイド「はて、聞き覚えのある名ですね

たしか学会から異端視されて、つま弾きにされている、あのジャニスですか?」

クラトス「・・・そこまではわからん

だが、その名に間違いはない」

ジェイド「ほう、彼がラルヴァをねぇ

なるほど、ラルヴァが有名ではないのもうなづけます」

「なぜですか?」

ジェイド「その提唱者自身が無名ですからね」

クラトス「だが、今後はわからん

ラルヴァのデモンストレーション実験が大々的に行われるらしいからな」

「っ!」

リフィル「なんて事!

まだラルヴァの安全性も保証されていないというのに・・・」

クラトス「実験の場所はペリー鉱山だ」

リフィル「遠い・・・間に合うかしら

内陸だから、馬車を乗り継いで数週間かかる距離だわ

見ておきたいけれど、私自身の研究を放っておくわけにもいかないし・・・」

悩むリフィル達とは裏腹に余裕の笑みを浮かべるジェイドは言った

ジェイド「なに、大丈夫ですよ

この船ごと乗り付けましょう、それなら手間はない

リフィル、あなたには船内のあちこちに散りばめられた古代文字を解読していただきたい

まだ機能が明らかにされていない機関部分があるようですし

解読出来れば機能が解放されるはずです」

それを聞いたリフィルは顔を輝かせて頷いた

リフィル「あら、面白そうね

よくってよ」

ジェイド「さあ、ではバンエルティア号の方を先に片付けましょうか

デモンストレーションの期日まであまり時間がありませんし」

リフィル「ええ、それじゃ早速取り掛かりましょう」

その言葉をきっかけにそれぞれ自分の目的のために散っていった

この日からジーニアス、クラトス、そしてこの時何も喋らなかった女の子のプレセアが仲間に加わった

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