二重奏は青空に響く(marco)
□二重奏は青空に響く
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少女は逃げていた。
逃げて逃げて…追っ手が見えなくなっても逃げ続けていた。
(早く…もっと遠くへ………。)
少女の白い服には赤い血がべったりと着いており、今もじわじわと広がっている。
銃で撃たれたのだ。
傷の痛みと戦いながらそれでも少女は止まることなく逃げ続ける。かれこれ5時間は経っており、血が足りなくなったのか、手足の感覚はもう無くなっていた。
ーーーグラリッ
(あっ、だめっ)
ついには、意識も薄れだした。
(まだ、気を失う訳には行かない…もっと遠くへ………もっ…と………。)
少女は落ちていったーーー青い海へと。
意識が途切れる刹那、海に白いクジラを見た気がした。