愛されGirl
□10.お出かけA
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最初に凛達がお化け屋敷に入る事になった。
「わ…中真っ暗だね」
「え、壮五君、環君、どこっ」
「凛さん、ここだよ」
「え?え?」
入ったはいいものの、中が真っ暗で三人はお互いのいる場所が分からなくなる。
凛が声を出して壮五と環を探していると、突然右手に温もりを感じ体を震わせた。
「きゃっ、嫌っ、出たっ!?」
「ちょ、凛りん、暴れんなって、俺だからっ!」
「たっ環君!?」
凛はホッとすると共に、環に右手を右られている事に気が付く。
「環君、暗闇で気付いていないかもしれないけど、私と手繋いじゃってるよ」
「ちっげーよ、気付いてる!凛りんが、どっかいかないよーにしてんじゃん」
環が得意げに言うと、暗闇で壮五が笑う声が聞こえる。
「それじゃあ環君、僕とも手繋ごうか」
「えー…。凛りんと繋げよ…」
「…あからさまに嫌がらなくても。傷つくな」
壮五は言いながらも、手探りで凛の手を探しそっと握りしめた。
「…っ!」
「じゃあ僕達も繋ごうか、凛さん」
「う…う、うん、そうだね」
そして三人はゆっくりと歩き始める。
(何?何で?環君に握られた時は、なんとも思わなかったじゃん…)
凛は左手ばかりに意識が集中してしまう。
壮五が自分の手を強く握りしめる度に胸が高鳴り、壮五の握る力が弱まると思わず自分から強く握りしめ直したくなった。
繋いだ手から自分の鼓動が壮五に伝わってしまうんじゃないかと心配する程、ドキドキしていた。
(どうしよう……どうしよう……これじゃ、なんだか…)
「………恋してるみたいだ」
「んー、凛りん何か言ったか?」
「えっ?」
「コイが…なんたらって」
「…………」
凛は自分の気持ちが口に出ていた事に焦り、手に汗がにじむのを感じる。
「いや…あの…おばけ来い!みたいな…」
「…?そういや、本当、オバケでないな」
凛の焦り様に環は不思議に思いながらも、疑問を口にする。
それは壮五も思っていた事で、若干不安そうに「進む道間違えたのかな?」と言う。