愛されGirl
□5.爆弾発言
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「二人とも準備は出来た?」
「はい、つい今し方」
「台本も貰ってるみたいだね、もうADさん来たんだ」
「はい」
凛は楽屋で寛いでいる様子の二人を見て不思議そうにする。
「久々のバラエティーだけど、緊張とかはないのかな」
「緊張?なんで」
環が王様プリンを食べながら首をかしげる。
「だって、今日は大御所タレントさんとのトークだし、先輩アイドルのTRIGGERもいるみたいだし。緊張しない?」
再度凛が尋ねるが、環も壮五も首を横に振る。
「歌の収録がある方が緊張するというか…」
「TRIGGERがいるから、トークは、あっちに任せる」
「いや環君もちゃんと、アピールしてね」
壮五の意見には納得したが、環には少しきつく注意をする。
「あ、もうすぐリハの時間だね。挨拶周り行きましょう」
凛の言葉で二人は立ち上がり、三人で挨拶周りへと向かう。
が、その廊下でTRIGGERと鉢合わせをする。
「お、TRIGGER」
「こら環君、しっかり挨拶しないと」
凛の後ろで壮五が環に小声で注意をしている中、凛はオーラを振りまく3人プラス一人に近づく。
「おはようございます、TRIGGERさん、姉鷺さん。今挨拶に伺おうと思っていたところだったんです」
「あ、紡の姉」
「…凛です」
八乙女楽に凛が愛想笑いで答えると、凛の後ろから壮五と環が出てきて三人に挨拶をする。
「今日はMEZZO”として来ました、よろしくお願いします!」
「お願いします」
挨拶する二人にTRIGGERの三人は順々に「よろしく」と返していく。
「今日は一人なの?」
姉鷺に声をかけられ、凛は「はい」と答える。
「私、MEZZO”のマネージャーを任されまして」
「ふぅん、そう。小鳥遊事務所は独り立ちが早いのね。大丈夫なの」
「全力で取り組んでいます」
「…あっそ」
姉鷺は素っ気なく返すと、「行くわよ」とTRIGGERの三人に向かって言い去って行く。
「頑張れよ」
「はいっ!」
八乙女楽にそう言われた壮五は背筋をピシッと伸ばして返事をし、それを見て凛は微笑むが自分も楽と目が合ってしまい思わず固まる。
「…お前もな、頑張れよ凛」
「へ、は…」
楽から微笑み付でそう言われた凛は柄にもなく頬を染めてしまう。
それを見た天と龍之介がそれぞれに楽を冷やかしながら、TRIGGERの三人は去って行く。
凛はボーっと廊下に突っ立ったままだったが、環の「行かねぇの?」という一言で我に帰り、両頬をパンと叩く。
「うわ凛りん、何してんの」
「何でもない…それじゃあ行きましょう」
三人はやっと歩き出した。