愛されGirl
□4.マネージャー
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「話って?」
社長は優しく目を細める。
「私に……私を、独り立ちさせて下さい」
「…独り立ち?ここを辞めるという事?」
「あ、違う…表現間違えた…」
凛は少し慌てる。
「私に、一人でマネージメントさせて下さい」
「君、一人で?」
「はい」
社長は首をかしげて凛を見る。
「でも、うちの看板アイドルはもう紡がマネージメントしているよ?」
「……もう一つ、あるじゃないですか」
凛はまっすぐに社長の目を見る。
「…MEZZO”。MEZZO"は壮五君が環君の面倒を見つつスケジュール管理をしてくれています。でもそれで壮五君が倒れた事もあると聞きました」
「うん、そうだったね」
「だから、私に彼らのマネージメントをさせて下さい。もちろん、MEZZO"の仕事が無い時はIDOLiSH7のマネージメントの補助もしますし、7人全員を支える気合いで働きます」
凛が段々と大声になりながらも伝えると、社長は優しく笑って立ち上がる。
「途中で投げ出さないかい」
「そんな事しません」
「一人で抱え込んだりしないかい?」
「報・連・相はしっかりします」
「ははは」
社長はニッコリと笑うと、机の前に出てきて凛の方に手をポンと置く。
「いいよ。君に任せるよ」
「ほ、本当に!」
「ああ。今日から君がMEZZO"のマネージャーだ」
「…ありがとうございます!」
凛は顔を輝かせると、走って社長室を出て行く。
「おーい、社内は走らない…って、もう行っちゃったか」
◇◇◇◇
事務室へと戻ると、凛はカバンからケータイを取り出して素早くラビチャを開く。
万里はその様子を見て不思議そうにする。
「凛ちゃん、急いでどうしたの?」
「万里さん、私MEZZO"のマネージャーになりました」
「そっか、MEZZO"のマネージャーかー…って、え?そうなの?」
「はい、さっき社長にお願いしに行ってOKもらいました」
「そうなのか!…ついに一人でマネージメントか、おめでとう!」
「ありがとうございますっ」
凛が万里に微笑むと、手元のケータイが震える。
「あ、返事来た…万里さん、私ちょっと席外してもいいですか?」
「というか、今日はもう上がってもいいよ」
「え」
凛が目を丸くすると、万里は優しい表情をする。
「もう6時半だし、君も今日休憩とれていないだろう?」
「でも、大和さんと三月さんからの仕事の終了連絡、まだ受けていないですし」
「僕が受けておくよ。紡ちゃんの事を気遣っているなら、戻り次第彼女も上がらせるよ」
「でも…」
「いいから、今日くらい早く帰っていいよ。明日からはまた更に忙しくなるんだからさ」
「万里さん…」
凛は万里に深々とお辞儀をして、言葉に甘えて上がることにした。