愛されGirl
□7.守りたい
1ページ/7ページ
「や、八乙女さん…」
スタジオの入り口に立つ楽に、三人は驚きで目を見開く。
プロデューサーは引きつり笑いを浮かべる。
「あれ、八乙女君。ここで収録があったのかい?」
「まあな」
「何か…何か用かい」
プロデューサーが言うと、楽はゆっくりと三人に近づく。
「凛の様子がおかしかったから、ちょっと見張ってたんだよ」
「え…」
凛が驚いた声を出すと、楽は凛を見て優しく微笑む。
そして再度プロデューサーの方を見て、ゆっくりとケータイの画面を見せる。
「何だ……なっ、これは…」
プロデューサーは顔を青ざめさせて楽のケータイを掴もうとするが、楽にサッと交わされてしまう。
プロデューサーよりはるかに背が高い楽がケータイを上に上げてしまうと、プロデューサーの手はもう届かない。
慌てるプロデューサーの後ろで、凛と壮五は何が何だか分かっていなかった。
「八乙女君…返してくれ、いや、消してくれっ」
「…プロデューサーさんさ、今後もこの世界で生きていくんだよな」
「あ、ああ、そうだ」
「それなら、こんな事世間にバレたらもうやっていけないな」
「なっ…」
楽の目は鋭く、睨まれているプロデューサーだけでなくそれを見ていた凛も背筋がゾワッとする。
「お前なんかにこいつらの進む道の邪魔はさせねぇよ。この事をバラされたくなかったら、凛にも…凛んとこの事務所が抱えてるタレントにも、もう手出しすんな」
「…君は、誰に物を言っていると、」
「出来ねえって言うなら、うちの事務所もタダじゃおかない」
楽の言葉に、プロデューサーはグッと口をつぐむ。
楽はそれを冷たい目で見下ろすと、凛と壮五にツカツカと近づき二人の腕を掴む。
「あっ」
「行くぞ」
「八乙女さんっ」
そのまま二人を引きずるようにしてスタジオの入り口まで行くと、再度楽はプロデューサーを振り返る。
「変な気起こすなよ、プロデューサーさん。弱味握られてるのはあんたの方だからな」
そう言い捨てると楽は凛と壮五を連れてスタジオを出て行く。