愛されGirl
□6.押さえつける心
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バニーちゃん事件から約一週間が経った今日は、あの収録の回の放送日だ。
事務所に確認もせずバニーガールの代わりを務めた事を凛は社長から怒られたが、怒るといっても本当に少ししか怒られなかった。
凛の分の出演料を払うというプロデューサーに断りを入れたのだが、何故か振り込みがあり、凛はネットのバーチャル口座画面を見てため息をついた。
「いらないって言ったのに……どうすんのよこのお金」
次会った時に返金のお願いをしようと凛が心に決めた時、事務室のドアが開いて大和と三月が入ってくる。
「よ、凛」
「大和、三月くん。お疲れ様」
パソコンのやり過ぎで凝った首を揉みながら凛が挨拶をすると、大和は「時間だぞ」と言う。
「時間って…何の」
「決まってるだろ、バニーちゃんの時間だよ」
「ちょっ……それ口にするの禁止!」
凛が慌てて椅子から立ち上がると、大和と三月はケラケラと笑う。
「ごめんごめん。でも皆でその番組見ようって言って集まってるからさ。凛も一緒に見ようぜ!」
三月が明るく言うが、凛は浮かない顔をする。
「見たくないよ」
「見といた方がいいぞ。その胡散臭いプロデューサーが約束破りしていないか、自分の目で確かめないと」
大和が大真面目に言うと、凛は「うっ…」と唸り、ため息をつく。
「分かった、見る……」
「そうこなくっちゃなー」
凛は大和と三月と共に事務所内のテレビがある部屋へと移動した。