愛されGirl

□3.親睦会
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凛が小鳥遊事務所で働き始めて早一カ月が経った。


ここのところIDOLiSH7は忙しく、メンバーも紡・凛共々ほぼ休み無しで働いていた。



働きづめの生活で、元々要領の良い凛はどんどん仕事を覚えていった。



そして今日は珍しく全員オフの日となった。




凛は久々に家探しを開始する事にして、駅まで車で向かい、駐車してから街をフラフラした。




「はー…全然良い家見つからない」




不動産屋をはしごして大量の資料をもらい、カフェでそれを眺めていたが、しばらくすると資料を見飽きてカバンへ詰め込み、コーヒーを飲みながら窓の外を眺める。



ボーっとしていたが、隣の方で「ねぇねぇ、あの人達、なんかスタイル良すぎだよねっ」という声が聞こえてきて、何気なく隣を見ると高校生の女子たちが窓の外を指さしてキャッキャッと騒いでいる。



思わず彼女たちが指さす方を向くと、コーヒーを吹き出しそうになる。




(あれ…絶対に…あの子たちだよね…)




窓の外に見える集団は、変装はしているものの絶対にIDOLiSH7のメンバーだ。


全員ではなく、陸・大和・三月の三人だけだったが、皆から放たれるオーラは隠しきれていない。





「ねぇ、皆であの人たちに声かけにいかない!?」

「えー、どうしよう、シッシッて冷たくあしらわれないかなぁ」

「女子高生ってだけで相手してくれるかもしれないじゃん!」





隣の女子高生がギャイギャイ言い始めた為、凛は慌てて荷物をまとめて店の外へと飛び出る。



そして陸たちに駆け寄ると「ちょっと」と控えめに声をかける。



振り返った三人は初めは怪訝そうな顔をしていたが、凛だと分かるとパッと表情を和らげる。




「あ、凛さん!」



陸がなんだか嬉しそうな表情をするが、凛は周りを気にしてソワソワしてしまう。




「おー凛、買い物か?」




大和もほがらかにそう言うが、凛は小声で皆に近づく。




「いやあのそれより、皆さん、電車で来たんですか?」

「そうだよー、ちょっと買い物に」




三月はニコニコとしながら両手に持つビニール袋を持ち上げて見せる。


良く見ると皆もそれぞれにビニール袋を持っている。




「凛には黙っていようと思ってたんだけどさ、実は…」




三月が話し始めたところで、凛は三人の背を強めに押す。




「うわ、何だよ」

「皆さん目立ってるんです!私の車近くに停めているので、一緒に来てください!」

「うわっ、分かったから、押すなよ」




凛は三人を連れて車に戻った。




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