愛されGirl
□2.初めまして
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家探しが難航したままあっという間に一週間が経ち、ついに凛の出勤日となった。
いつもより早起きをしてダイニングへと向かうと、紡が食卓に朝食を並べているところだった。
「あ、おはよう凛。…あれ、今日はいつもと違う」
「おはよう、紡。変?おかしい?」
「おかしくない、働くお姉さんって感じですごくいいと思う!」
紡は目をキラキラさせて凛を褒める為、凛は照れ臭く苦笑する。
いつもの凛は一言で言うなら派手な格好だったが、今日は紺の上下スーツに白のシフォンブラウスを着ており、いかにも「仕事」という感じだった。
…若干スカート丈は短いが。
「朝食食べたら、事務所まで私の車で送っていくよ」
「ありがとう紡。いただいます」
◇◇◇◇
紡の車で事務所へ向かった凛は、まず最初に事務所で働く一人の大神万里と会う。
万里は二人を見るとニッコリとする。
「おはよう、紡ちゃん。…こちらが、例の?」
「おはようございます、万里さん。はい、私の姉です」
「はじめまして、小鳥遊凛と申します」
「こちらこそ、はじめまして。これからどうぞよろしく」
「はい、こちらこそ」
凛はスッと万里に手を差し出し、万里は最初何か分からずポカンとその手を見たが、一瞬後すぐにその手を握り握手を交わす。
凛はその様子に苦笑する。
「握手は、ビジネスマナー違反ですか?」
「うーん、あまりしない、かな」
「分かりました、気を付けます」
二人の会話に紡は慌ててフォローを入れる。
「凛はアメリカ生活が長かったので…」
「うん、知ってるよ。これから日本流を学べばいいさ」
凛に優しく笑いかける万里に、紡はホッとした表情をする。
「それじゃあ社長に挨拶してから、うちのタレントと顔合わせしようか」
「お願いします」
万里と紡に着いて行き、社長に挨拶をする。
「おはよう紡、凛。凛、今日はしっかりした格好しているね」
「それはどういう意味でしょう」
「そのままの意味だよ、いつもヒラヒラした格好していたからヒヤヒヤものだったよ。まぁ、今日も少しスカートが短いような気もするけど」
「気のせい」
「凛…」
紡は苦笑する。
「うちのタレントにはもう会ったかい」
「これから顔合わせに行きます」
「そうかい。それじゃあ紡、凛をよろしくね」
「はいっ」
社長に一礼をして社長室を出た後、紡と凛はレッスン室へと向かう。
紡が「失礼します」と声をかけてドアを開けると、IDOLiSH7のメンバーが勢ぞろいしていた。