愛されGirl
□1.真反対な女の子
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ここは小鳥遊事務所。
最近話題の7人組アイドルグループ、アイドリッシュセブンを抱えるプロダクションだ。
いまレッスン室で新曲の振り付けを練習している所だった。
「はいでは皆さん、一旦ここで休憩挟みます」
振付師の言葉により皆がそれぞれに行動を始めると、レッスン室の扉が開き、彼らのマネージャーである小鳥遊紡が入ってくる。
「皆さん、お疲れ様です」
「ありがとう。マネージャー、どうしたの?」
七瀬陸が汗を拭きながら明るく言うと、紡は「お知らせがありまして」とニコニコする。
「休憩中なのにごめんなさい、少しだけ時間頂けますか?」
「うん、もちろん。皆、マネージャーが話があるって!」
陸が呼びかけるとぞろぞろと皆が集まってくる。
「何、どうかしたの?…表情見る限り悪い話ではなさそうだけど」
一番年長者の二階堂大和が眼鏡を指で押し上げながら言うと、紡は「よく分かりますね」とニコッとする。
「実は一週間後から私の姉もここで働くことになりましたので事前にお知らせしておこうと思いまして」
「マネージャー、お姉さんいたの?」
一織が「聞いていない」という様な顔で言うと紡は苦笑する。
「姉はずっとアメリカにいて、元々こちらに戻ってくる予定は無かったので…」
「へぇ、アメリカ」
「はい、でも先日いきなり『帰国する、そっちで働かせて』なんて連絡が来まして…」
紡の言葉に皆も苦笑するが、一織の兄の和泉三月は明るく「いいんじゃない、人は多い方がさ」と言う。
それに続く様に皆もそれぞれ肯定する様に頷く為、紡はホッとした様な表情をする。
「良かったです、皆さんにそう言ってもらえて。しばらくは仕事を覚える為に私と共に行動する予定なので、よろしくお願いします」
紡は皆にお辞儀をすると、レッスン室から出て行く。
「マネージャーのお姉さん、どんな人かな」
陸がストレッチを開始しながら言うと、六弥ナギが「きっと、とってーもキュートです!」と叫ぶ。
「アメリカに住んでいたって言っていたよね。何してたのかな」
三月が言うと、四葉環が「さあ」と首をかしげる。
「…あっ環君、お尻で僕の服を踏んでるんだけど」
床に座り込んでいる環に、環の教育係の様になってきている逢坂壮五が注意する。
「あ、ごめん。気付かなかった」
環はお尻の下から壮五のパーカーを引っ張り出すと壮五に渡す。
「いいよ、床に置いたままの僕も悪かったし」
壮五はパーカーを受け取るとレッスン室の隅へとそれを置く。
「アメリカ住か…マネージャーの話を聞くと、なんだか突拍子もない感じの人っぽいよね」
三月が言うと、「でも、あのマネージャーのお姉さんだから、きっと大丈夫だよ」と陸が笑う。
皆新しく入社するマネージャーの姉に期待を抱いているのだった。