Season3 【完結】

□冬の章八 追儺(ついな)
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「あっ…、あのさ…後で先生が来たら全部話すから、お母さんも一緒に聞いてて。璃青は本当に悪くないの」
「そんなこと、分かってます。じゃなきゃ、無断外泊なんてさせません。悪い子じゃないって分かってるから、尚更本当のことが知りたいんじゃないの」
「…そ…だよね、うん…」
「嘘ついても分かりますからね」
「…っ、つかないよ、嘘なんか」

不意をつかれ、言葉を詰まらせた薔乃に、母親が微笑んだ。

「急いで出てきたんでしょ? 先生が来るまで時間があるから、ご飯食べなさい」
「……うん」

嘘はつきたくない。
でも、全てを話してしまったら、また、母親を悲しませてしまうのではないか?
薔乃は、母親の優しい言葉も、素直に喜べなかった。
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