Season3 【完結】

□冬の章三 洞房の侘助(どうぼうのわびすけ)
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「……?」
「全然、そんな風に見えないですよね」
「……うん」
「でもね、こうすると…」

真昼の指が叢の辺りを、ついと引き上げると、皮膚が引きつれ、中に隠れていた芯が剥き出しになった。
男性器と言われたが、薔乃には、どこがそうなのか、全く想像つかなかった。

「やっぱり、ピンとこないですか?」
「…ん…、…見たこと…ないし…」
「ですよね。私も、そうでした。でもね、先輩、ここを触られると、男も女も凄く敏感になるんですよ」
「そうなんだ…どうして、そんなこと知ってるの?」
「教えてくれた人がいたから」
「誰?」
「内緒。それは教えられないの。婬行で捕まっちゃうから」
「…相手の人、大人なんだね」
「はい。でも、薔乃先輩には、彼から教えて貰ったこと、全部教えてあげる」

私を好きにしてい、いんだよ―。
真昼の言葉に、薔乃は戸惑いを隠せなかった。
これ迄、見たことも、触ったことも、なかった場所。
外側の見慣れた皮膚とは、質感や色も違うその場所に、視線は釘付けになりながらも、触れるだけの勇気はなかった。
真昼は、ハの字に開いた脚を下ろすと、薔乃の手を取り、己れのスカートの中へと導いた。
薔乃の指先に、体温よりも高く、柔らかな粘膜が触れる。
真昼の身体から滲み出た体液は、幾重の襞を柔らかに滑り、薔乃の指は、真昼の膣を押し分け、身体の中心へと入っていく。
どこまでも、指にまとわりつく肉。
普段は気にしない鼓動が、手に取るよう分かる。
薔乃は息苦しさを覚え、密かに呼吸を整えた。

「…そ…薔乃先輩…わ…」
「…? 真昼?」
「…私も…先輩…に…触っていい?」
「…え?」
「私も…先輩に触りたい…けど、先輩がいいって言ってくれないと、私、触れない…。…だって、私、痴漢じゃ…ない…」
「…真昼…」
「…私を…田崎先輩と思えば…いいじゃないですか…」
「…それは…」

できない。
真昼も、璃青も、自分自身でさえも蔑ろに扱っているようで。

「そんなことしない。…真昼なら、触られても大丈夫」
「……触れてもいい?」

薔乃は、小さく頷いた。
それでも、真昼は躊躇いがちに俯いて、震える手で、漸く薔乃の胸に触れた。

「…真昼」
「薔乃先輩も…もっと…奥まで…」

真昼は、薔乃の胸に手を置いたまま、それ以上、何もしてこなかった。

「…もっと、触っても大丈夫だよ?」
「薔乃先輩が望むなら、もっといっぱい、してあげたいけど、私にはこれで充分。薔乃先輩が、私に触ってくれるだけで…」

真昼は言葉を詰まらせたが、薔乃には、真昼の気持ちが痛いほど分かった。
薔乃は、留めていた指を、少しずつ動かし始めた。
奥に進むほど、熱く、複雑に蠢いている。
人、一人の情熱がそこに集約されているようだった。
真昼は、薔乃の掌に蔭核を擦り付け、途切れ途切れの、声にならない息を吐き出し、身体の中を探る指が動く度に、喘ぎ声を洩らした。
薔乃は、真昼に時別な感情を、抱いていたわけじゃない。
それでも、耳元に掛かる熱い息や、沸き上がる快感を堪えようと歪む表情を見ると、薔乃は昂る気持ちを、抑えられなかった。
それは、男性器と、底知れない路が己れの身体にあり、それが悦び満たされる場所なのだと、相反するものが一つの結果を生み出す矛盾と似ていた。
薔乃は、興奮しながらも、悲しくて、後ろ暗い気持ちになった。
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